フィールドワークに映像を使いたい
私の現在の研究テーマの一つに、自然環境の保全・再生・利用に関する協働のしくみ(環境ガバナンス)を、地域におけるフィールドワークの中から考える、というのがある(詳しくは研究内容のページをご覧ください)。自分の中の大まかな系統で言うと、大学院博士課程時代に東京湾三番瀬でやっていたタイプの研究で、北海道大学に就職してからはしばらくはあまりできていなかった分野の仕事である。今から4年前、文学研究科の宮内泰介さん(環境社会学)の主宰する研究会に入れていただいたのをきっかけとして、ふたたび取り組むようになった。
この研究会では、今年4月から新たな科研費のプロジェクトが立ち上がり(=要するに新たな研究資金を獲得したということ)、若干のメンバー交代などもあったので、そのキックオフ的なミーティングが7月下旬に東京で開かれ、私も出席してきた。この研究会には、いつも首都圏も含め全国から研究者が集まるので、全員にとってアクセスが良い場所ということで、北海道ではなく、たいてい東京駅前のオフィスビルの中にある北海道大学東京オフィスが会場となる。今回もそこが会場だった。
その日は20人ぐらいが集まり、朝10時から夕方まで、2020年春まで4年間の新プロジェクトでどんなことをしたいかという大ブレーンストーミングをした。私も、手堅いものから思いつきに近いものまで、いくつかのアイデアを出したのだが、そのうちの一つとして、地域でのフィールドワークに映像を使ってみたい、というものを含めておいた。
私たち共同研究者が、それぞれの調査地での出来事をビデオカメラで撮影し、それらを共有・集積したら面白いのではないか、という思いつきである。それ自体がこの時代に同時多発的に起こっている、各地での順応的な環境ガバナンスの実践に関する貴重なアーカイブを構築することつながるのではないか。私自身はビデオカメラによる撮影や、映像制作などについては全くの素人であるが、ここ1、2か月ぐらい、自分の授業でビデオカメラを使う機会がちょくちょくあり、それが意外と楽しく、「映像を使いこなすことができたら、環境社会学のフィールドワークの幅も広がるのではないか」と素朴に考えたのである。
フィールドワークへの映像の活用は、文化人類学や社会学などですでに色々と取り組まれていて、参考になる本も出ている。私が今回、このようなことを思いつくにあたっては、下記のような本を参考にさせていただいた。まだきちんと読み込めていないが、これからこれらの本も参考にしながら、映像を活用したフィールドワークにチャレンジできたらと思っている。
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