mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第14週:2022年8月29日-9月4日

8月29日(月)

土曜日の夕方に着いたスカイ島を、昨日はミニバスのガイドツアーで1日見て回り、くたびれていたので、スーパーで買った弁当をホテルの庭で食べて、早く就寝した。4時頃起床して、動き出す。科研費の書類の仕上げの続き。金曜日に共有した最終版に近い原稿に対して、週末の間に、研究分担者からコメントや激励のメールが届いている。それらに改めて目を通して返信などをしているうちに、エンジンがかかってきた。

学内手続きの関係で今日中には提出しなければならない。書類としてはほとんど完成していて、提出しようと思えばすぐにできない状態ではない。夕方には離れるスカイ島を、今日もよく見ておきたいという気持ちもあり、書類は早々に片付けてしまいたいという気分に駆られる。が、ここからさらにどこまで推敲できるかが、一読してのわかりやすさや、「ん?これは?!」と思わせる迫力を生み出せるかの分かれ目になるということが、この種のものを読む側に回った経験からわかる。そして、読んでもらう側(こちらの方が格段に機会が多かったわけだが)としては、この粘りを欠いたために、伝えるべきことを伝えられなかった数々の苦い体験が思い出される。というわけで、推敲はやめられない。

途中で頭の中をスッキリさせたくて、朝食の後、ホテルの周りを30分ほど散歩。静かな住宅地やグラウンドなどのあるところを、約3キロ歩いた。

ホテルの周辺を散歩

道路標識や通りの名前、駅名などはゲール語と英語の2言語表記です

その後、ホテルの部屋で申請書の推敲作業を続ける。何時ごろチェックアウトしたかもあまりよく覚えていないが、途中でチェックアウトし、ロビーのテーブルで作業の続き。12:30過ぎに、電子申請システムから送信を完了した。(ちなみに、ここで研究者が「送信」すると、所属機関(私の場合、北海道大学)の事務担当者が申請書にアクセスできる状態になる。これから事務担当者の方で諸々の手続きを経て、大学から日本学術振興会へ提出される)

次の目的地であるインバネス行きのバスは17:45発。もう4時間ぐらいしか残っていない。天気は良く、島内で見たいところはまだ色々とあるのだが、残り時間でどこか行って帰って来られるところはあるだろうか。ホテルに荷物を預けて、観光案内所へ歩いて行って相談すると、バスを使って行き来するようなところは、残り時間だと厳しいけれど、ポートリーの町中から直接歩いて行ける短いハイキングコースがあるから、そこに行ってみてはと勧められる。この「スコリーブレイ・サーキット」は『地球の歩き方』にも手軽に歩けるコースとして紹介されていて、何もなければこれしかないかなと思っていた候補ではあった。書類を出し終えて気分は軽かったこともあり、あと2〜3時間、何もせず過ごすのももったいないので、行ってみることにした。

結果的には大正解。海岸沿いの高台を歩くコースで、景色が変化に富んでいて、天気が最高に良かったこともあって、楽しいハイキングとなった。6キロほどの距離を2時間ぐらいかけて、途中、休みながら景色を楽しみ、ゆっくりと歩いた。

ポートリーの港。カラフルな家がかわいい

かなり疲れてますが、天気は最高でした

スコリーブレイ・サーキットから入江を望む。海だと思うのですが、地図にはLoch Portleeとあり「湖」という位置付けらしいです

草を食む牛たち。その奥の水面に生け簀が見えますが、町に戻ったら何を育てているのか質問しようと思いながら、忘れてしまいました

標識にもコース名(スコリーブレイ・サーキット)がちゃんと書かれています

町に戻ってパブで腹ごしらえし、17:45のバスでインヴァネスに向かう。途中、日暮れどきにネス湖の横を通ったが、そういう目で見るからだと思うが(笑)、いかにも「何か出てきそう」な雰囲気だった。

8月30日(火)

午前中は仕事と、市内で博物館の見学。昼からバスツアーでネス湖への半日バスツア(ジャコバイトツアー)ーに参加。39ドル(約6000円)は安くはないけれど、湖のクルーズとアーカート城の見学、行き帰りのバスでも運転手さんのガイドが付いていて、良心的な内容だった。ツアー参加中までは、ちょっと疲れた感じはあったけれど、元気だったのだけれど、夕方インバネスに戻ってから翌朝にかけて、のどの痛みとだるさが……

8月31日(水)

夜の間、症状はおさまらず、5:00頃起床。最終日31日は、帰途にスターリングに立ち寄って夕方にニューカッスルに帰るプランだったのだが、その予定をとりやめて、朝一番のロンドン行きの列車に乗ってニューカッスルに直帰。12:50、ニューカッスル中央駅着。スーツケースを引いて徒歩で宿舎まで戻る元気はあった。昼ご飯を食べて荷物を片付け、15:00過ぎに検温。37.1℃。相変わらず微妙な体温。他の自覚症状としては声の出にくさ。本当にコロナなのかどうか、という感じ。明日は早朝(日本時間の午後)にリモートで自分が代表従事者(編者)を務めている、国会図書館の研究会があるので、とにかく早く休む。20:30頃就寝。夜中に3回もトイレに起きた。

9月1日(木)

4:30起床。37.1℃。のどの痛みと全身のだるさは変わらない。特に良くも悪くもなっていない感じ。7:00からオンラインで国会図書館調査の研究会。田中豊さん、八木絵香さん、工藤充さんの3人の報告と討論。自分が代表なのでいつものように司会を務めなければならないが、明らかに声を出すのが大変。普通の体調ではないが、どうにかやりきる。研究会は9:00に無事、終了。

9:30頃 検温36.6℃。

10:00 発熱は落ち着いているものの、そろそろ感染しているのかどうか、はっきりさせたい。少し調べてみると、キャンパス内の学生会館(Student Union)で検査キットを無料配布しているとのこと。行ってみると、検査キットが7つ入った箱をくれた。早速検査してみると、くっきり陽性の結果。回復するまでにはしばらく時間がかかりそうだ、ということで、研究室から必要な荷物を持ち帰り、宿舎にこもる態勢を整える。

今週末から来週にかけて、以前から楽しみにしていた予定が二つあった。その一つは、明日から週末にかけて、20代の頃からの友人がドイツから訪ねてくることになっていた。早速、チャットで感染した旨を連絡する。飛行機もホテルも今さらキャンセルできないということで、友人も相当困惑した様子。ともかくニューカッスルには行くとのこと。感染自体は自分の落ち度ではないとはいえ、とても申し訳なく感じてしまう。

彼が来たら、一緒に行こうと思っていた市内の観光スポットなどの情報を、チャットで送る。明日、明後日は会うのはちょっと絶望的だろうが、もしかしたら日曜日か月曜日にでも、万が一、陰性になっていれば、屋外でちょっと会うぐらいのことはできるかもしれない。何はともあれ、まずは休養だ。

12:45 36.8℃。咳が出る。これがどこまで続くのかはわからないが、少し症状が変わってきている感じはする。

8月中旬から2週間、ポーランド東部の町でウクライナ避難者支援のボランティアのプログラムに参加していた娘が帰国。電話で様子を聞く。

9月2日(金)

ドイツから友人がニューカッスルに来る日。

4:50 36.6℃。平熱(はたぶん36.0℃ぐらいだと思う)に比べると高めだが、体温は低め。まだ起きてすぐ、早朝だからか。引き続きベッドに横になっておく。

考えてみれば、もし日本にいたら、職場に届け出たり直前の行動から濃厚接触者を割り出したりとかいうことが必要な状況だろう。イギリスにいるので、そんな必要はなさそうだけれど、一応、職場と情報共有しておいた方がよいかもと考え、研究部長にメールで報告。

7:00頃 朝食を食べる。食欲もあり、味覚の異常もまだ出ていない感じだ。

8:35 37.1℃。起きてしばらく経つと、体温が上がってくる。食事をした影響もあるかもしれない。

9:00 環境社会学会の仕事でオンラインミーティング。昨日の研究会とは違って、自分は一委員なので、話し続ける必要はないので助かる。委員長や他のメンバーの方の温かいご配慮でなんとかやり終える。

11:20 会議を終えて検温すると、36.4℃。急に熱が下がった。なぜかはよくわからない。先ほどの37度台が、食事の後だったから、ということなのかもしれない。昨日から出るようになったせきは続いている。

午後、ロンドンにいるHさんにメール。前から楽しみにしていた、二つの用事のもう一つが、来週、オックスフォードに行って気候市民会議についての2日がかりの研究会に参加する、ということだった。Hさんとは、一緒にこれに参加して、その後、別途研究のディスカッションをする予定だった。コロナ陽性になってしまったので、研究会に行けないかもしれない、というメールを送る。

すぐに返信があって、Hさんの長年の英国生活の経験から、色々とアドバイスをくれた。例えば「NHSダイレクト」(111番)というサービスがあり、救急車を呼ぶほど緊急でないが困った時は、まずそこに電話すると良いと教えてくれる。NHSは国営の国民保健サービス National Health Service である(イギリスにも日本と同じような国民皆保険制度がある)。111番に電話すると、看護師さんが電話で助言などをくれるのだという。症状が軽く、そこまで深刻な感じではないものの、もしものことを考えると不安はある。何せ外国だし。経験者の情報がもらえるというのは、大きな安心感。A friend in need is a friend indeed.

15:00頃 今日の飛行機でドイツから到着した友人から電話。少し話す。少なくとも今日、明日は一人で観光するとのこと。非常に残念で、申し訳ないけれど、やむを得ない。

16:00 今のところ、非常に穏やかな症状で推移しているのは不幸中の幸いである。が、万が一、症状が重くなって医療機関を受診する必要が出てきた時に備えて、自分でも少し調べ始める。日本を出る時に、1年分をカバーする海外旅行傷害保険に入ってきている。(当然のことだが)自腹で、ん十万円も払って買った保険なので、こんな時に活用せねばもったいないと考え、保険会社のアシスタントセンター(日本語対応のフリーダイヤル)に連絡。あらかじめ病院でも紹介しておいてもらおうと思ったのだが、必要になったらまた電話してくださいとのこと。また、重症だったり緊急だったりしないかぎりは、Zoomなどを使ったオンライン受診が中心になるとのことだった。本当に急を要する時は病院の救急救命室に行ってくださいとのことだった。(ちなみに救急救命室ER(emergency room)は、イギリスではaccident and emergencyの略でA&Eと言うことが多いみたいだ)

18:30 夕食。食欲と味覚にはまだ問題はない。できあいのラザニアを温めて食べる。食後に体温を測るのは間違った習慣なのだと思うのだが、どうしても食べる前に測るのを忘れてしまい、今回もまた食後に検温すると37.2℃。症状はのどの痛みとせきに、鼻水が加わるようになっている。

9月3日(土)

5:30頃、目覚める。時々うつらうつらの時間はあったが、6時間ぐらいは熟睡できた。のどの痛み、鼻づまりはだいぶおさまった。とにかくのどを使わないことが大事みたいだ。36.9℃。とりあえずもう少し眠れないか試みる。

5:50 横になっているが目覚めたままだと、やはり鼻水が出る。もう少し眠らないといけない。

8:00頃 Hさんから電話。40分ぐらい話す。

11:00頃 インスタントコーヒーを飲む。味覚が弱まっている感じがする。その後、40〜50分ぐらい眠る。起床後、昼食。イギリスに来てすぐに非常用に買ってあった、ラムと野菜の煮物のレトルトパックと、いつものM&Sのレトルトご飯。ほとんど味覚がなくなっていることに気づく。ついに来たか。食後、36.8℃(今回も食べる前に測るのを忘れた笑)。

食後、溜まっている仕事にとりかかる。遠藤さんが書いてくれている「さっぽろヒグマ市民会議」(今年2月にオンラインで実施)の報告書の原稿チェック。だるさはそこまでないのでなんとかやれるだろうと思って始めたが、1時間ほどで疲れてしまう。一旦休憩。ベッドに横になる。

16:30頃、起床。気づいたら2時間ほど眠ったらしい。肺のあたりに鈍い痛み。なんだか嫌な予感。要注意。36.9℃。報告書の原稿チェックの続き。

23:45 今日最後の検温。36.6℃。

9月4日(日)

5:00頃 36.6℃。のどの痛み、腫れた感じはだいぶおさまった。6:00頃、再度検温。36.8℃。熱はまだ上がってくるのか。動こうとすると、だるさがある。

8:15 36.9℃。微熱はまだあるということだ。とりあえず軽く朝食を食べ、少し時間をおいてから、検査キットを使って検査をすることに。

9:20頃 検査。まだくっきりと陽性だった。これは意外と時間がかかるかもしれない。起きて少し仕事。前期にリモートで担当した大学院の講義(科学技術社会論)の成績をつける。

11:00頃から40分ほど眠って、すっきりした。37.1℃。体温自体は昨日、一昨日あたりとあまり変わっていない。採点の続きをやって、終了。

12:40 Jens(ドイツの友達)から電話がある。宿舎の前まで会いに来てくれるとのこと。マスクをして外で一瞬だけ会ってくることに。

Jensが宿舎の近くまで会いに来てくれた。キャンパス内を少しだけ一緒に散歩した。写真はCivic Centre前の公園のベンチで

宿舎に戻って、ヒグマ報告書のチェックの続き。

19:00頃、同じフロアの部屋に、新しい入居者が来る。ドイツ出身の医学生。1階に入居する友人も一緒に。到着早々にこんな話ですまないけれど、コロナにかかってるのでしばらく気をつけねて、と伝える。

20:00すぎに就寝。盛りだくさんの1週間だった。