mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

ブックレット『市民の日本語へ』をひつじ書房から出版しました

市民の日本語へ―対話のためのコミュニケーションモデルを作る

市民の日本語へ―対話のためのコミュニケーションモデルを作る

社会言語学NPO論、民俗学社会学といった異なる角度から、「市民参加」やそのためのことばや話し合いのあり方を考えるブックレットを、先日出版しました。せんだい・みやぎNPOセンター代表理事などとして活躍され、2011年に亡くなった加藤哲夫氏が市民参加を論じた『市民の日本語』という新書がありますが、この本の版元であるひつじ書房松本功さんの発案により実現した企画です。『市民の日本語』に表現された加藤氏の思い、問題提起を引き継ぐ形で、いま何をどのように考え、論じることができるか、5人の執筆者が集まって議論をしたうえで、各自が1章ずつを執筆しました。

私は「市民意識の変容とミニ・パブリックスの可能性」という章を書きました。最近の日本では、権威主義的でトップダウン式の意志決定のスタイルがますます力を失う一方で、世論調査の結果によると、個々人の政治的・社会的な参加意識は低下の一途をたどっている、というジレンマがあります。このジレンマに対処する上で、(少し我田引水的ですが)私自身がこの間追い続けている「ミニ・パブリックス」型の市民参加の手法が役立つのではないか、という議論をしています。