mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

シリーズ進学案内(5)修士課程のカリキュラム(下)

シリーズでお届けしている進学案内の5回目。前回に引き続き、修士課程のカリキュラムのお話です。

前回、修士課程修了に必要な30単位のうち12単位分は、修士論文修論)作成のための活動に対して与えられると書きました。修論の作成は、自分で計画を立てオリジナルな研究を遂行し、成果を論文にまとめるということで、修士課程を構成する大事な柱の一つです。

修論作成の進め方は専攻分野ごとに異なりますし、同じ専攻でも講座や研究室ごとにやりかたは様々です。ここでは当研究室の場合をご紹介します。

テーマ選び

研究テーマは、一人ひとりが自分で選びます。もちろん担当教員となる私自身の専門分野や経験から対応できる範囲で、という条件はつきますが、テーマ選択にあたっては、各人の自主性や問題意識や創意を大事にします。テーマの着想を具体化し、実現可能な研究計画を作り上げていく過程では、こちらから色々とアドバイスもしますが、学生に対して一方的に「テーマを与える」ということはしません。

研究の遂行

テーマが固まったら、実際に研究を進めていきます。文献を集めて読み、調査や観察、実験を企画して実施し、データをまとめて分析し、論文の元になる文章を書く、という作業を繰り返し、少しずつ前進させます。

三上は、皆さんの研究の進展に応じて、個別面談の形で随時相談に乗ります。各回の面談の中身はケースバイケースですが、研究の進捗を報告してもらい、その時点で得られている結果の分析・解釈やまとめ方、その先の研究の進め方、必要があれば研究計画の修正などについて相談する、というのが一般的です。

研究報告と討論の場としての演習

当研究室では、学期中には毎週1回、研究室の演習(通称「論文ゼミ」)を開いています。ここは、研究報告と討論の場です。修士課程の学生は、修論の研究がある程度まとまったら、この演習で報告します。各自、1年目に2〜3回、2年次にも3回ほど報告する、というペースです。教員や他の学生との討論を通じて、様々な示唆を得ることができます。

修士課程の段階では、学会など外部での報告の機会はほとんどないのが普通です。この演習での報告が、実質的には唯一の成果発表の機会になります。各回の演習でだれが報告するかの順番は、学期の初めに決めますので、この演習での報告を目安にして研究を進めていくことができます。

いくつかのマイルストーン

修士2年次に入ると、上記の演習での報告の他にも、研究を進める上でいくつか重要なマイルストーンがあります。

まず、6月頃に研究室内での修論検討会があります。ここでは、当年度に修論提出を予定している人が、自分の研究計画と進捗状況の報告書と、草稿の一部を準備し、それらの内容を報告します。報告に基づいて、討論をします。

夏休み(8月〜9月)には、1〜2日程度の日程で集中演習を行います。これは毎週行っている演習(論文ゼミ)の一環ですが、修士2年生はここで、修論のコアになる研究成果を報告することが期待されます。

そして例年10月に、科学コミュニケーション講座全体の行事として、修論中間発表会が開かれます。研究の途中経過の要点を15分ほどにまとめてプレゼンし、講座の他の教員などからコメントやアドバイスを受けます。

提出、発表会そして論文完成

論文本体は、1月中旬をめどに完成させて提出します。論文はすぐに審査に回され、1月下旬をめどに、主査と副査の教員による予備審査(口頭試問)が行われます。

そして、1月末か2月に、科学コミュニケーション講座全体で修論発表会が開かれます。ここで論文の要点を15分ほどで報告し、質疑応答やコメントを受けます。発表会の結果、合格となった場合は、発表会でのコメントなどを受けて原稿に修正を加え、修論を完成させます。