mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第8週:2022年7月18日〜24日

7月18日(月)

日本では海の日で祝日だが、こちらでは平日。とはいえ、大学は完全に夏休みモードで、政治学のフロアもスタッフは数人しか出勤していない状態が続いているので、閑散としていることには変わりはないのだが。このフロアで、平日毎日研究室に来ているのは自分ぐらい。その他、昼間はロビーや空き会議室でパソコンに向かって熱心に仕事をしている学生が、いつも3〜4人程度いる。修士論文を執筆中の学生らしい。仕組みが十分理解できていないところがあるのだが、こちらの修士は、9月にスタートして1年間のプログラムなので、修士論文を本格的にまとめるのは、6月に授業が終わった後のこの時期になるとのこと。

今日と明日は、南部を中心に全国的に記録的な熱波になるという警報が、先週から繰り返されていた。朝のBBCのニュースはこの件がトップニュースで、キャスターが中継で外から天気予報を伝えたり熱波に備える人びとの動きをリポートしたり、挙句の果てには気候変動の専門家まで登場して、冒頭20分間はこのニュースを伝えていた。宿舎のキッチンでいつも通りトーストやハム、野菜などの朝食をとるが、7時前でもすでにかなり蒸し暑く、暑さで食欲が出ない。

7月18日(月)朝の天気予報

イギリスでは一般的な家庭やオフィスにはエアコンがない。その中で今日明日は35℃とか40℃、という気温になるかもしれないということで、日本での同様の気温とはまた違った危うさがある。自分の場合、日本で鍛えられているとはいえ、エアコンが使えないという環境の中で果たして二日間乗り切れるのか、やや不安になる。間違っても熱中症などにならないように注意しなければ、と気を引き締める。

そのうちテレビからは、熱波の中での過ごし方の注意が流れてきた。水分補給をこまめにとか、不要不急の外での活動は避けましょうとか、日本でよく言われることとほとんど同じなのだが、一つだけ「おや?」と思う内容があった。

曰く「日中はカーテンや日除けを閉じて、窓も閉めなさい」。

窓を閉める?? 窓を開けて風通しを良くする、の間違いでは?

と思ったのだが、そうではなかった。話を聞いてみると、こういうことだ。

この記事にあるように、朝の気温が低いうちに窓やドアを開け、風通しをして冷たい空気を部屋の中に入れておく。そして気温が上がってくる前に、ドアや窓を閉じ、ブラインドやカーテンも閉じなさい、という話だった。部屋の中よりも外の方が蒸し暑いのに窓を開けておいたら、暑い空気が入ってくるだけで、室温は上がる一方である。考えてみれば当たり前のことだ。

日本の夏でも、朝の涼しいうちは窓を開けて風通しをし、冷たい空気を入れるというところまでは同じだ(とはいえ、とくに本州以南では「朝の涼しいうち」という時間帯が無い日も増えていて、そんなときは1日24時間エアコンをつけっぱなしにすることも少なくないと思う)。しかし、部屋の中よりも外の方が暑くなってきたら、あとは気温が上がる一方なので、さっさと窓を閉めてエアコンをかけてしまう。札幌でもここ10年ぐらい、真夏の少なくとも2〜3週間ぐらいはそんな日が多いと思う。だから、外が暑くなってきた後、エアコンがない場合、どうするかについてはよく知らなかった(または忘れていた?)のである。

熱波の二日間の初日の朝に、このことに気づいてよかった。もっとも最初は半信半疑のままだったのだが、とにかく朝8時からのオンライン打ち合わせの前に研究室に行き、すでに外はかなり暑かったので、BBCニュースのアドバイスを信じて、窓もブラインドも閉めて1日過ごした。私のいる研究棟は、10階建て*1の大きな建物なので、窓際の研究室はともかく、ロビーや階段をはじめとして、内側に冷たい空気をかなり溜め込んでいるようで、日中も適宜、ドアを開けておけば、快適とはいかないまでもどうにか過ごすことができた。

宿舎は出かける前に窓もカーテンとブラインドも閉めていったが、帰ってみるとかなり蒸し暑く、網戸もないので窓も開けづらく、夜はかなり寝苦しかった。

お隣のBさんがしばらく留守にしているらしいことに、先週末頃から気づき始めたのだが、夕方、帰ってきた。イギリス南部を車で8日間、旅してきたとのこと。すごく楽しかったみたい。

今日の気温はロンドンは37℃、ニューカッスルでも32℃まで上がったようだ。

7月19日(火)

熱波の二日目。昨日よりも気温が上がるとの予報。朝8:30(日本時間16:30)から大学院の科学技術社会論の授業。この授業は今学期はほとんどオンデマンドで進めてきたが、最終回の一つ前の今週と、最終回の来週は、期末レポートに向けたプレゼンをしてもらうためZoomを使って同時配信で行う。

終了後、今度は2時間、大学院のゼミがある予定だったのだが、都合により中止に。例の書類作成の作業が遅れているので、時間的には助かった。この暑さの中で書類作業の続きをするのが、なかなか精神的に堪えるが、窓もブラインドも締め切って、黙々と作業を続ける。

合間に、水をくみにロビーに出たら、並びの研究室で出勤しているジェームズさんに声をかけられ、ちょっと雑談。お話しするのは初めてだと思うが、「この夏の旅行の予定とかは?」という話になり、出身のスコットランドのオススメなどを聞く。2年間の延期の果てに、諸々やりくりしてどうにかイギリスへやって来て、とくに最初の1カ月は、抱えて来た仕事をこなすのに精一杯で、旅行のことなど全く考える余裕がなかった。そもそも、ニューカッスルに滞在していること自体が、自分にとっては立派な旅行なわけだし。だが、お隣のBさんも8日間も旅行して来たというし、可能な範囲で、こちらにいる間に色々と見て回らないともったいないという気がしてきた。

とはいえ、まずは目先の書類作成である。ゼミがなくなった時間を生かして作業を進め、夕方までに一通り埋めた。あとは明日、一からチェックと推敲をすればよいぐらいのところまで到達した。延ばしてもらった締め切りは木曜日の午後なのだが、今度こそは遅れるわけにいかないので、明日には終わらせたい。まだ完了していないが、何とか目処はついた。熱波の二日間をエアコンなしで乗り切ったということもあり(この種の言い訳が多いのが見苦しい(笑))、夕方、手前の方のパブでビールを飲んでから帰宅。

今日の気温は、ニューカッスルは昨日よりは低く29℃。しかしロンドンは40℃まで上がったようだ。猛暑の二日間が終わった。

7月20日(水)

昨日までの暑さがうそのように涼しくなる。朝、いつもの2つの定例ミーティングの後、書類作成の続き。淡々と作業を進める。午後4時すぎに完成して送り終えた。一度、期限を延ばしてもらったがどうにか終わった。爽快感はないが、ホッと一息。帰りにショッピングモールの中のいつものスーパーで買い物して帰る。ハム1パック£3.50、オレンジジュース1リットル£1、炭酸水500ml6本入り£1.60、レモンチョコレートクッキー£1.85、レンジでチンするだけのハムタリアテッレ£3.10(超手抜きの晩ご飯)。締めて£11.05(¥1,863)。

7月21日(木)

朝イチで、国会図書館のリスコミ調査について、分担執筆者の一人と国会図書館の担当者を交えてオンラインで打ち合わせ。

午後、先週から一度お茶に行こうと約束していたソラナさんと、大学正面のAnyoneカフェへ。アイスラテを注文して外の席に座ったのだが、だいぶ涼しくて温かい飲み物でもよかったなという感じ。猛暑はホントに2日間だけだった。

7月22日(金)

朝8時(日本時間午後4時)から、昨年度から続いているヒグマとの共生に関する市民参加についてのプロジェクトの打ち合わせを、遠藤さんと池田さんと3人で。遠藤さんが準備してくれている報告書のドラフトを一緒に検討する作業で、お昼近くまでかかってしまった。午後は週明けの気候市民会議に関するオンラインセミナーでの講演準備をしなければいけないのだが、午後は集中力が続かず。先週から続いてきた書類づくりと、今週前半の熱波とで、かなり消耗した感じ。早めに切り上げて休むことに。

7月23日(土)

今週はいくつかの刺激をきっかけに、できる時にはなるべくあちこち見て回らなければもったいないという思いが強まった。それで早速、週末は以前から一度行ってみると良いよと複数の人に勧められていたヨークへ。ニューカッスルから南へ鉄道で1時間ほど。ローマ時代からの古都で、中世に作られた城壁がよく保存されている。英国を代表する大聖堂の一つとも言われるヨーク・ミンスターも見どころ。朝早く出発して10時すぎには現地に着き、昼の間に市内をたっぷり歩いて堪能した。

城壁にはBarと呼ばれる門が6つあり、そこから旧市街に出入りする

城壁の上を歩くことができる

13世紀に城の見張り台として建てられたClifford's Tower

大聖堂 York Minster

大聖堂の内部

城壁から大聖堂を望む

7月24日(日)

ヨークには1泊した。夜はホテルで読書や勉強をできればと思って、本や勉強道具も持って来ていたのだが、先週の疲れが出たようで、ろくに勉強せずに眠ってしまった。朝早めに起き出して、翌日のセミナーの準備。駅の反対側にある国立鉄道博物館にも行きたかったのだが、昨日、城壁とタワー、大聖堂をゆっくりと観て回ったら行く時間がなかった。また時間を見つけて今度は日帰りで来よう。

朝10時の列車でニューカッスルに帰った。

宿舎に着いてすぐに、日本にいる兄とオンラインでつないで、おそらく出発前のゴールデンウィークに実家で会って以来、2カ月半ぶりに話す。午後はIHRPのメンターのボランティア。研究計画を作成中の高校生の相談に乗った後、運営スタッフの皆さんとの会議。高校生へのサポートの仕方についても助言する。

その後、明日のセミナーの準備の続き。午後11時前(日本時間の25日早朝)には資料が出来上がり、メールで提出。明日の朝は8時(日本時間では16時)スタートなのですぐに就寝した。

*1:地上12階・地下1階の間違いでした。何だ全然違うじゃないか、と思われるかもしれませんが、イギリス式で言うと11th Floorまであるということはぼんやりと記憶していて、日本式に言えばそこで1足さなければならないところを、間違えて1引いていたということでした。今、私がいる階は4th Floorで、日本で言う5階です。これまでも間違えて4階と言っていたことがあるかもしれませんが。(2022.08.02追記)