mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

科学技術社会論学会シンポジウム「ジェンダード・イノベーション:研究開発における社会的公正の可能性と課題」

科学技術社会論学会の今年度の公開シンポジウムは「ジェンダード・イノベーション:研究開発における社会的公正の可能性と課題」をテーマとして、9月28日に国際基督教大学(東京都三鷹市)で開かれます。オンラインでも同時配信します。参加無料ですが、事前登録が必要です。詳しくは下記のサイトをご覧ください。

以下、上記の学会ウェブサイトから抜粋。

近年、ジェンダード・イノベーション(Gendered Innovation, GI)が世界的に注目されています。これまで暗黙のジェンダー・バイアスによって見えてこなかった諸問題が、医療などの生命科学分野の基礎研究から工学分野の技術開発に至るまで、さまざまな事例を通じて明らかになってきています。また、科学史研究によってもこのようなバイアスの解明が進められてきました。その結果、GIはジェンダー平等や多様性の改善といった社会的公正のための理念や手段としてだけでなく、実益をもたらしてくれる自然科学に基づくイノベーションの新しい指針として、企業や国家からの期待を集めるようになっています。日本でも、第6期科学技術・イノベーション基本計画において初めてGIの文言が明記され、さらに女性版骨太の方針2024では様々な分野におけるジェンダード・イノベーションの推進が盛り込まれました。その一方で、社会的な期待とともに多様な利害による政策誘導や商業化が進められることで、GIの本来の特徴が曖昧になり、女性目線の導入という従来からの指針に目新しいタイトルをつけただけのものになったり、さらにはステレオタイプな社会的不公正を再生産するようなものになったりする懸念も生じています。本シンポジウムでは、このようなGIの可能性と課題について、とくに社会的公正という観点から検討します。

登壇者として、佐々木氏には、生命科学分野でGIが展開されてきた経緯を学術誌の動向なども交えて報告いただくとともに、日本や韓国における近年の政策動向についても報告いただきます。村瀬氏にはこの分野をリードしてきたEUの動向について報告いただきます。鶴田氏には、GIがその理念として掲げる社会的公正をいかにして実現しようとするものなのかを、とくに構造的不正義の是正という観点から報告いただきます。標葉氏には自らの科学コミュニケーション実践やSNS分析を通じて、「フェムテック」という言葉が誘引しうるイマジナリーとそこからみるGIの課題について報告いただきます。そして、隠岐氏をコメンテーターとして、これらの報告を踏まえた総合討論をおこないます。

なお、学会としては、この分野に取り組んでいる会員の研究成果を幅広く共有することでその研究活動を支援したいと考えていますが、シンポジウムの開催時間は限られています。GI関連の研究に取り組んでいる方は、ぜひその研究成果を科学技術社会論学会の年次研究大会や学会誌『科学技術社会論研究』でご発表いただき、さらなる議論を促していただければ大変ありがたいと考えています。

 

開催日時:2024年9月28日(土)13:00–16:45

開催場所国際基督教大学 トロイヤー記念アーツ・サイエンス館

 東京都三鷹市大沢3-10-2

 交通アクセス:https://www.icu.ac.jp/about/access/

 JR武蔵境駅、JR三鷹駅京王線調布駅からバス利用

 オンライン同時配信あり(事前登録が必要、録画の配信はおこないません)

参加費:無料(科学技術社会論学会の非会員の方も無料でご参加いただけます)

定 員:会場130名、オンライン500名

参加資格:どなたでもご参加いただけます。科学技術社会論学会の会員である必要はありません。

参加申込:いずれの参加方法(現地参加/オンライン)を希望される場合にも、下記のアドレスから事前に参加登録してください。

https://jssts.disaster-education.info

※現地参加の事前登録は9月25日(水)まで受け付けます。それ以降は、座席に余裕があることが見込まれる場合は、当日会場での参加登録を受け付けます。当日の受付を行うか否かは上記のWebsiteに9月26日(木)に掲載いたします。

※オンラインの参加登録は同時接続上限に達しない限りは、シンポジウム終了時刻まで受け付けます。オンライン参加希望の方には、ご登録いただいたメールアドレス宛にZoomリンクが記載されたページのアドレスをお送りします。

問い合わせ先:2024年度科学技術社会論学会シンポジウム事務局

sympo2024sts@gmail.com

主催科学技術社会論学会

後援:申請中

プログラム

13:00–13:15 会長挨拶・趣旨説明:綾部広則、夏目賢一(司会)

発表(各計35分、事実関係の質疑5分含む)

13:15–13:50 佐々木成江(横浜国立大学東京大学)「生命科学におけるGIとその科学技術政策への展開」

13:50–14:25 村瀬泰菜(東京大学)「EUにおけるGIの展開と課題」

休憩(10分)

14:35–15:10 鶴田想人(大阪大学)「GIは構造的不正義を是正しうるか」

15:10–15:45 標葉靖子(実践女子大学)「フェムテック等をめぐる社会技術的想像からみるGIの課題」

休憩(15分)

16:00–16:40 総合討論:登壇者4名、隠岐さや香(コメンテーター)

16:40–16:45 閉会挨拶