mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第11週・第12週:2022年8月8日〜21日

8月8日(月)

早朝、研究分担者に参加依頼のメールを送り始める。並行して、研究部の業務についてオンラインでミーティング。

天気が良いからか、昨日までの4日間の湖水地方旅行の効果か、科研費の申請が少し進み始めたからか、それらの複合でかはよく分からないが、意外なほど気分が軽い。

申請書の作成は、研究の目的や内容、研究組織の輪郭が見えてくると、計画の細部で詰めるべき部分や、それらをどう表現するかについて、山ほど考えるべきことがあることがわかってくる。特に今回は、自分自身が代表として応募するものとしては、初めて挑戦するサイズの研究組織、予算規模なので、全てのことが手探りだ。

17:00頃、大半のメンバーに依頼のメールを送り終える。かなり疲労困憊。気分の軽さは残念ながらあまり長持ちしなかった。その後、翌日の大学院ゼミの文献購読のレジュメを作成。どうにか作り終えて、パブでビールを一杯飲んで帰宅。

8月9日(火)

5:00起床。今日から科研費の研究分担者や協力者との打ち合わせが始まった。今日は6:00からと9:00からの2件。無事に終わる。11:00から大学院ゼミの前期最終回。バーガー&ルックマン『現実の社会的構成』輪読の最終回。自分が報告担当。この本を一緒に読むことで、受け持ちの博士の2人とともに、また修士の大学院生も加わって、社会学的なものの見方や考え方について議論できたのは良かった。

ゼミが終わって完全にくたびれたので、昼ご飯を買ってキャンパスの隣のLeazes Parkへ行くことに。家族と電話で話しながらお昼を食べつつ散歩。研究室に戻って、研究協力者への連絡の続きと、雑用を少々。まだ依頼のメールを送るべき研究分担者が5人残っているが、明日以降にすることにした。

8月10日(水)

今日は6:00から研究分担者との打ち合わせを3件連続で10:00まで。皆さんに参加を快諾いただくことができ、その点では至って順調なのだが、計画に盛り込むべきアイデアをすでに多数頂いており、明らかに消化不良の状態。昼ごろまで、打ち合わせで出た宿題に対応する作業などをしつつ、午後からの旅行の支度。

14時過ぎに荷物を持って宿舎を出る。天気が良いので、街中をぶらぶら散策しつつ徒歩で中央駅まで移動。列車でグラスゴーへ。

ニューカッスルのセントラル・アーケード

スコットランドに行くのは6年ぶり2回目。前の訪問は2016年9月、宮内泰介さんとレズリー・メーボンさんが主催する地理学研究者、環境社会学研究者を中心とした日英交流ワークショップに参加するため、エディンバラ大学を訪問した時だった。同年5月には札幌でイギリス側のメンバーを迎えて同ワークショップの1回目が行われており、ニューカッスルでの共同研究者であるStephenと知り合ったのは、この時であった。

19:30にグラスゴーに到着。まだ明るく、多くの人が屋外で飲んだり食べたりして賑わっているのが、いかにも北国の夏、という感じ。札幌の大通公園のビアガーデンを思い出した。

夕方、グラスゴーに到着。19:30でもこの明るさ

8月11日(木・祝)

今日は日本は山の日でお休み。そこで、科研費申請の準備作業は1日お休みにし、以前から行きたいと思っていた、ニュー・ラナークを見学。協同組合や労働運動、社会主義思想の先駆けとなったロバート・オーウェン(1771-1851)が、紡績工場の経営者として数々の実践に取り組んだ地である。グラスゴーから列車で1時間ほどの田舎町、ラナークの中心から歩くこと、約20分。紡績工場や労働者用住宅、学校などの建物が修復・保存されており、世界遺産にも登録されている。建物の中には当時の生産や生活の様子、オーウェンについての展示などもあり、1日かけて見学した。ミュージアムとしてのつくりはやや雑な感じもしたが、建物は外観を中心に素晴らしく保存されていて、側を流れるクライド川と合わせて、美しい景観だった。

ニュー・ラナークとクライド川

8月12日(金)

科研費の申請に向けた研究打ち合わせを再開。6:30から11:00にかけて4件連続でオンラインミーティング。話は順調に進んでいるが、さすがに疲労困憊。終了後、ホテル前のパブで遅い朝食を食べてから街に繰り出す。ケルヴィングローブ美術館・博物館を、グラスゴーの工業化の歴史についての展示を中心に見学。乗り降り自由の観光バスを使って、グラスゴー大学や大聖堂、また昨年、国連の気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が行われたコンベンションセンター(これは横を通過するだけ)などを見て回る。

帰りは直通の特急でニューカッスルまで。途中、Berwick upon Tweedを過ぎたあたりから濃霧に。行きにツイード川を渡る陸橋のあたりの景色が趣深く、もう一度よく見たかったのだが、かなわなかった。今度はまたよく見ることにしたい。濃霧の影響で少し遅れたが、21:40頃無事に帰宅。朝が早い日が続いていて寝不足になっていたので、久しぶりに十分睡眠をとった。

8月13日(土)

科研費の申請作業を進めつつ、次の旅行の計画。夏のうちにスコットランドをしっかり見ておきたいと考えていて、その第2弾のプランを考える。とくに北部のハイランドとアウターアイランズシェトランド諸島オークニー諸島)は、せっかくならば夏のうちに訪れておきたい。色々と行きたい所があるのだが、全てはとても行けないので行き先を絞り込み、どうにか連続した日程が取れそうな8月26日から31日に、まずはグラスゴーからバスでスカイ島に行き、その後、インバネスに行ってネス湖も見て帰ってくる計画を立ててみた。スコットランド第2弾としてはこれが限界だろう。

アウターアイランズの方は、オークニー諸島に絞って、第3弾として改めて飛行機で出直すことにしよう。9月中旬の敬老の日を含む連休を中心に5日間ほどまとまった時間が取れそうだ。とりあえずカレンダーには書き込んだ。

8月14日(日)

昨日の夜、ある文章を書きかけて1時間ぐらい頑張ったのだが、明らかに頭が疲れていてどうにもならないので、そのまま横になって朝まで眠った。10時間ほど眠っただろうか。それでも頭が疲れている感じが抜けず、イギリスに来てからは珍しいことだが、朝目覚めてから布団の中でゴロゴロし、9時すぎに起き出した。終日、宿舎で机に向かう。科研費の申請に向けた作業の続きや、日記を編集してブログにアップする作業など。

8月15日(月)

朝5:30頃から10:00まで、4件続けて科研費のメンバーとの研究打ち合わせ。

東京の大学で中央アジアの言語や文化、ロシア語を勉強している娘が、ウクライナからの避難民の支援ボランティアに参加するため、ポーランドに出発した。同じプログラムに一緒に参加する札幌出身の大学生とともに写真入りで紹介する記事が、北海道新聞に出た。貴重な機会であることは本人が一番よく分かっていると思うが、安全と健康には気をつけてしっかり学んできてほしい。

8月16日(火)

朝5:00から10:00まで、4件連続で科研費の研究分担者との打ち合わせ。早朝からのオンライン打ち合わせが続いていて、さすがに疲労が蓄積している。終了後、朝食を食べて気を取り直して大学に。

研究組織(分担者の参画依頼)のめどはほぼついたので、とにかく申請書を書き進めないとまずい。全体の構成とか細部の表記などの、大きな話や逆に細かい話は忘れて、ともかく集中力が続くところまで、パソコンにかじりついてひたすら文章を書くことに。途中、おやつ休憩を挟んで16:30過ぎまでやったところで限界になったので、もう一つ別の、これはこれで重たい案件の資料作成を進める。

8月17日(水)

研究室スタッフとの定例ミーティングの後、12:00-14:00にオンラインで、シノドストークラウンジ「啓蒙の限界プロジェクト」にゲストとして登壇。北海道大学橋本努さんのコーディネートで「気候民主主義――温暖化を阻止する市民会議の作り方」と題して『気候民主主義』について紹介し、その後、ディスカッション。ミニ・パブリックスの弱点について指摘するコメントなどもあり、改めて貴重な宿題を頂いた感じ。終了後、翌日から始まる国立国会図書館の科学技術に関する調査プロジェクトのオンライン研究会の予習。これは自分が代表・編者なので、遅刻するわけにはいかない。18:30には研究室を出て、スーパーで買い物して帰る。21:30頃就寝。

8月18日(木)

6:20出勤。7:00-9:00、国立国会図書館の調査プロジェクト「科学技術のリスクコミュニケーション」の研究会、第1回。分担執筆者から担当章に関する報告を頂き、それぞれについて質疑と意見交換。お二人の分担執筆者による充実した報告と、スタッフのKrさんのいつも通りの周到な準備により、大きな問題もなく無事に終えることができた。その後、明日、午前中にオンラインで行うプレゼンの準備の続き。

8月19日(金)

昨夜はプレゼンの準備が意外にも夕方までには済んで、19時頃には帰宅できて、夕食も20時ごろには終わって、ほんの一瞬、ホッとする時間が取れた。ホッとしている場合でもないのだが、つかの間、息抜きにネットで昔のドラマ(「半沢直樹」など笑)をダラダラ見たりした。朝4時頃に目が覚めた時、不思議と頭がだいぶスッキリしていた。よくわからないが、ストーリーのあるものをボーッとしながら見たのが効果的だったのではないか、と思う。科研費のメンバーとの打ち合わせが早朝に詰まっていた今週の月曜日・火曜日あたりは、頭にずっと もやがかかったような状態で、あれは本当にまずい状態だった。今回はスケジュール的に必要だったし、短期間だったから良いけれど、これを何週間も続けると本当に壊れてしまう。気をつけないといけない。

午前中のプレゼンは幸い無事に終わった。

8月20日(土)

科研費の書類を始めとして仕事は溜まっている。26日からのハイランド旅行はまだ手配していないが、できれば何とか行きたいので、宿舎にこもって仕事を片付ける。科研費の申請の他にも、環境社会学の講座本の編者の仕事や、その他、溜まっているメールへの対応など。

全国高校生異分野融合型研究プログラム(IHRP)のボランティアで以前コメントを担当したプロポーザルを、その後をフォローできておらず、1カ月ほど放ったらかしにしてしまっていたのが気になっていた。時間を作って、その後の状況を確認してSlackにコメントを書き込んだ。少しスッキリ。

8月21日(日)

終日、宿舎。月末が最終期限の科研費の申請書の先行きはまだ不透明だが、8月26日から行こうと考えているハイランド旅行は、このタイミングを逃すと、きっとチャンスはないだろう。それはあまりに惜しいので思い切って行くことに決め、鉄道とバス、宿泊先を予約した。今回もレンタカーは使わず、公共交通機関と現地発のツアーを活用することにした。

26日(金)夕方にグラスゴーまで鉄道で移動して1泊。翌朝、長距離路線バスで出発し、スカイ島のポートリーまで7時間かけて移動。スカイ島で2泊。その後、再び長距離路線バスでインバネスに移動し、そこでまた2泊して、ネス湖インバネスを見て、最後は31日(水)に鉄道で帰ってくる。ただでさえ8月というハイシーズンに、コロナ後の観光需要の高まり、それに円安のトリプルパンチで、ホテル代が高いのがつらいが、どうにか旅程を組むことができた。科研費の申請も綱渡りなら、旅行も綱渡りだ。