mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第10週:2022年8月1日〜7日

8月1日(月)

7月上旬にロンドンで行われた日本人研究者の交流会で知り合った、在英の社会学者Sさんの紹介で、イギリス留学やイギリスでの研究に関心のある日本の社会学系の研究者のオンライン情報交換会に参加。その後、スタッフのKrさんとオンラインで科研費の申請書作成に向けた打ち合わせ。研究分担者のリクルートは先週末からぼちぼち始めているが、研究計画の輪郭はまだぼんやりしている。やるべきテーマはそれなりにはっきりしているのだが、どんなチームで、具体的にどんな方法で、どのような予算配分だったらそれはできるのか。計画は所詮計画なので、実際に動き始めたら修正を繰り返すことになるのだけれど、少なくとも計画のレベルで「これならできそう」というストーリーがどうやって作れるのかの模索が続く。

8月2日(火)

大学院ゼミ。バーガー&ルックマン『現実の社会的構成』は第3部に入った。今日は1、2章を読む。あと1回を残すのみ。午後、ロンドンにいるYさんとZoomで情報交換など。科研費の申請は目立った進展なし。今日も天気が良いので、夕方、キャンパスの周りを散歩。

Castle Leazes(大学のすぐ隣の共有地)

8月3日(水)

朝、定例ミーティング。その後、先日の環境政策対話研究所・IGESのセミナーを聞いてくださった知り合いの研究者の方と、関連する話題についてオンラインで情報交換。

8月4日(木)

朝7時からオンラインミーティング。副指導を担当している修士論文について、経過報告を聞いてディスカッション。その後、間をおかずに気候市民会議関係でオンライン打ち合わせ。

先月のヨークとハドリアヌスの長城に続く、旅行シリーズ?の第3弾として、午後から仕事を抱えつつ湖水地方に行く。ハドリアヌスの長城に行くときに使った、タイン川沿いの鉄道にまた乗って、今度は終点のカーライルまで1時間半。そこで、ロンドンとグラスゴーを結ぶ幹線であるウエスト・コースト本線に乗り換えて南に1時間ほど行った、Oxenholme Lake Districtという駅で、湖水地方行きの支線に乗り換える。

午後遅く支線のホームに着いて、湖水地方のやや古びた看板を見ていたら、小田原駅で箱根湯本行きの電車に乗り換える所を思い出した。オクセンホルム自体は小さな村なので、小田原とはちょっと違うけれど、湖水地方もイギリスを代表する国立公園で、その入り口ということでは、連想としてそう間違ってはいないだろう。ウィンダミア駅近くにあるゲストハウスにチェックイン。その後、ウィンダミア湖畔まで15分ほどかけて歩いて行く。湖畔のパブで夕食して路線バスで帰る。

8月5日(金)

湖水地方は、一番大きなウィンダミア湖(Windermere)と、アルズ湖(Ullswater)、ダーヴェント湖(Derwent Water)、グラスミア湖(Glasmere)など16の湖と、500以上とも言われる多数の池が広範囲に点在している。イングランドに10ある国立公園の中で最大の面積だそうで、「文化的景観」として世界遺産にも登録されている。

路線バスで回ることもできなくはないけれど、それも大変そうなので、湖めぐりのツアーに参加することにした。レンタカーを借りて回れば時間に縛られず、新型コロナ感染の心配もなく手軽なのだが、イギリスで出回っているレンタカーはマニュアル車が中心だとか(マニュアル車は28年前に免許をとって以来、ほとんど運転していない)、契約や支払いでトラブルが多いという記事をネットで読みかじったりしたために、なんとなく億劫で、今回の滞在ではまだレンタカーを使用していない。国際運転免許証は、出発直前の慌ただしい中、警察署に行って発行してもらって持って来てはいるのだが。

自分で回るのと違い、ガイドもしてもらえるのもありがたいということで、今回はレンタカーは使わず、今日は日中、湖水地方の主な名所に連れて行ってもらえるツアーに参加することにした。

こんなミニバスで湖水地方の名所を巡る

アルズ湖に向かう途中の峠からの眺め(湖はたしかブラザーズ湖?)

ハイランド牛(Highland Cattle)

アルズ湖のほとりを散策

約4500年前に建てられたというキャッスルリッグ・ストーンサークル(Castlerigg Stone Circle)

絶景スポット「サプライズ・ビュー」からのダーヴェント湖の眺め

天然のスレート(粘板岩)の採石場(Honister Slate Mine)

湖水地方を愛したロマン派の詩人、ウィリアム・ワーズワース(1770-1850)の元住居

ワーズワースの眠る墓地がある教会(写真上。お墓は右手の茂みの後ろの方に)と、近くにある「水仙(The Daffodils)」の詩碑

8月6日(土)

昨日は昼間、ツアーで効率よく湖水地方の良い所を絞って見せてもらえて良かった。ただ、1日バスに乗っていてくたびれたし、このところ仕事しながら旅もしていて、デスクワークも溜まり気味で、締め切りが近づいている科研費申請のこともじっくり考えたい。今日は土曜日だし、あくせくせずにゲストハウスの周辺で過ごすことに決めた。

ゲストハウスの前のアジサイがきれい

ボリュームたっぷり、ゲストハウスの朝ごはん

朝食の後、部屋に戻って仕事。1時間半ほどで集中が切れてきたので、ゲストハウスのすぐ近くにある標高239メートルの丘、オレスト・ヘッドに出かける。20分ぐらいで手軽に登れるけれど、頂上からの見晴らしは感動間違いなし、とガイドブックにあったので、今日の散歩にはちょうど良さそう。

こんな感じのなだらかなフットパスを20分ほど歩く

オレスト・ヘッドからの360度のパノラマ(湖はウィンダミア湖)

期待通りの素晴らしい景色だった。森の中を歩いて、だいぶリフレッシュした。ゲストハウスに帰って仕事の続き。

昼食に出たついでに町の中にある金物屋に入ったところ、部屋用のアルコール式の簡易な温度計を見つけた。本当はデジタル式のものがあると良いなと思っていたが、アルコール式のものでもあれば助かる。迷わず購入。

部屋に戻ってから、夕方まで集中して作業して、論文の審査や原稿のチェックなど、溜まっていた仕事はだいぶ片付いた。

8月7日(日)

湖水地方にまだ名残惜しさはあるが、週明けから再び忙しくなりそうなので、今日は早めに帰ることに決めていた。ゲストハウスでの朝食の後、荷物をまとめ、オーナーにお礼の挨拶をして精算を済ませ、駅へ向かう。

駅に着くのが早すぎて、列車まで1時間弱空いてしまった。昨日、夕方までかかって終わらなかった審査コメントの仕上げをしつつ、11:39発の列車を待つ。その合間に何気なく入った駅前のホームセンター(別荘地なのでこういう店があるわけだ)で、デジタル式の温度計をついに見つけた。ドイツ製で少し値が張るが、時計やタイマーもついていて便利そうだし、長く使えそうなので思い切って購入。というわけで、温度計二つが今回の旅のお土産。

来た道を戻る形で、ウィンダミアからオクセンホルムに出て、ウエスト・コースト本線でカーライルまで。夏休み中の日曜日らしく、駅も列車もよく混んでいた。カーライルで乗り換えて、ニューカッスルまではまた山の中のローカル線で1時間半ほど。15:30頃、ニューカッスルの駅に帰り着いた。天気が良くてとても気持ちが良いのと、早めに帰り着いてまだ元気が残っているので、駅から宿舎まで初めて歩いて帰る。ゆっくり歩いて約30分。荷物をざっと片付けて、スーパーで食材の買い出し。17:00頃戻って、科研費の書類の続き。1時間半ほどで、申請書の元になるメモが完成した。

月曜日からは科研費の申請準備がいよいよ本格化する。研究分担者、協力者をお願いしている方々との、基本的には個別の打ち合わせが来週中頃まで、約20件続く。その合間に来週は、この夏、数回に分けて巡ろうと考えているスコットランド行きの第一弾にも出かける。