mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第7週:2022年7月11日〜17日

7月11日(月)

朝、国会図書館の調査の件で分担執筆者とオンラインで打ち合わせ。午後、スティーブンと研究についての打ち合わせ。共著論文の執筆について話を進める。16時からGPS学部(School of Geography, Politics, and Sociology)のSummer Party。1カ月前にも学会懇親会で行ったWylam Breweryで。今日締め切りの報告書の原稿がまだ出せていないが、ビールを3杯飲んだので、今日はもうダメ。

7月12日(火)

朝から、先週に続き脱炭素化技術ELSIプロジェクトのテクノロジーアセスメントに関する研究打ち合わせ。学食で朝食の後、大学院ゼミ。『現実の社会的構成』の第2部第2章。片岡さんが執筆中の論考のドラフトも検討。その後、13:00から徳田太郎さんらVOICE and VOTEの皆さんが主催する、『気候民主主義』の6回連続の読書会の最終回にゲストとして出席。

7月13日(水)

午後、東京都杉並区で気候市民会議の実現に向けて取り組んでいる住民グループの方々と、オンラインで情報交換。欧州気候市民会議研究会の原稿はあと一息。

7月14日(木)

10月に日本から来る同僚二人と予定しているスタディツアーの計画を立てるため、3人でオンラインでミーティング。思いのほか時間がかかったが、スケジュールの大枠は決まり、宿も全ておさえることができた。今、ホテルも飛行機もとるのが大変なので、早めに動いて吉。その後、欧州気候市民会議研究会の報告書原稿を完成させて、3日遅れで提出。原稿が一つ終わったので(というのは口実だが)、大学の前に二つあるパブのうち、まだ行ったことがなかった方に行き、一杯飲んで帰る。

7月15日(金)

締め切りが近づいている某書類の作成作業。

7月16日(土)

その続き。単純作業の部分も多い仕事なのだが、内容的なことも相まって、それはそれで結構こたえる。イギリス渡航の直前や、その後1カ月ぐらいの間、かなり忙しかった間もほとんど欠かさなかった日記を、まともにつける気が起こらない状態。

こういう時の気分転換は読書に限る。今月末の読書会で読む『ウクライナ日記』の著者であるアンドレイ・クルコフの代表作、『ペンギンの憂鬱』(沼野恭子訳)を前々から読んでみたいと思っていたので、電子書籍で入手して読む。

7月17日(日)

また前日の続き。当初想定していた内部的な締め切りに間に合わなさそうなので、相談をし数日延ばしてもらう。

気分転換の『ペンギンの憂鬱』は、読み終わってしまった。訳者も解説で書いていたけれど、村上春樹の小説を思い出す雰囲気の作品だった。2004年に書かれたその解説では『羊をめぐる冒険』の名前が挙がっていたけれど、読みながら自分が思い出していたのは『1Q84』。『ペンギンの憂鬱』は、新聞社の依頼で架空の追悼記事を書く仕事をしていたライターが、知らないうちに恐ろしい事態に巻き込まれていく物語。自明のものと思って疑わないこの現実は、全く不確かなもので、もしかしたら別の現実がパラレルワールドみたいに存在しているかもしれない、といった感覚を刺激される話だった。

東日本大震災の後しばらくの間、全く荒唐無稽な話なのだけれど、3月11日14時46分を境に、世界が二つに枝分かれしていたら、というようなことを空想することがあった。自分たちは地震津波原発事故の「起こった」方の世界にいるのだが、それと並行して地震津波も、原発事故も「起こらなかった」世界が別にあり、そちらではこれまで通りの生活が営まれている。津波原発事故の衝撃が大きすぎて、そこから逃避するような感覚でそんな空想にふけっていたわけだが、もしかしたら、パラレルワールドが重要なモチーフだった『1Q84』を、前年に読んでいた影響が大きかったかもしれない。『ペンギンの憂鬱』を読みながら、11年前のそんな経験を思い出したりしていた。

明日から2日間、イギリス全土でものすごい熱波が来るらしい。ロンドンなど南部の方では40度を超すかもしれないという予報になっていて、ニューカッスルでも30度台半ばまで気温が上がりそう。宿舎も研究室もエアコンがないので、熱中症に要注意。