mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第3週:2022年6月13日-19日

6月13日(月)

先週末のケンブリッジ出張のお土産(アジア系スーパーでの衝動買い(笑)を含む)

7:30に研究室へ。国会図書館調査の16人いる分担執筆者に宛てた依頼状や執筆要領を先週から準備してきたが、今日はそれを発信する日。日本時間の夕方までには送りたいということで、早朝から順次、送信作業。10時(日本時間18時)前には何とか送り終えて、ほっと一息。これで、渡航時期に重なってしまい懸案となってきた三つの仕事のうち二つめが、どうにか峠を越した。

午後は、翌14日にオンラインで参加する学会のラウンドテーブルでの発言の準備。一通りドラフトを作成して、オーガナイザーを務めるスティーブンに送る。

6月14日(火)

明日から3日間、ニューカッスルでイギリスの国際関係論の学会(British International Studies Assosiation)の年次大会が開かれるのだが、今日はそのプレイベント的に、オンラインでのセッションが行われる。朝9時から、共同研究者のスティーブンがオーガナイザーを務める、"Climate Assemblies, Multi-Level Governance and the Global Climate Crisis" のラウンドテーブルに、例によって研究室の隣の部屋からZoomで参加する。現地に来ているのに、オンラインで学会参加というのも変な感じだけれど、もともとこのラウンドテーブルに参加を決めた今年初めには、実際にこのタイミングでイギリスに来られるかどうかは、そもそもまだまったく不透明であった。

イギリスや欧州の他の国などから総勢10人の登壇者が、ローカル/ナショナル/グローバルのさまざまなレベルで行われてきている気候市民会議の事例を短く紹介。私は "city level" での事例として「気候市民会議さっぽろ2020」について話した。

その後、一息入れて11:00から大学院ゼミ。そうこうしている間に、渡航前後のドタバタで遅れていた3つの仕事のうちの最後の一つについて、催促のメールを頂いてしまう(ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません m(_ _ )m)。これまでも、空き時間はこの原稿を最優先に進めてきたが、国会図書館の件もひと段落した今、少々無理矢理にでも他の全てを後回しにし、仕上げるときだと覚悟を決める。午後、4時間ほど集中して、分量的には8割ぐらいのところまで進めた。

帰宅して夕食を作って食べてから、20時頃からさらに頑張るぞと思ったが、完全にエネルギー切れ。朝9時からフル回転しているので、無理もない。

6月15日(水)

結局、20:30頃から5:30まで眠った。0時頃に目が覚めてからは熟睡というわけにはいかなかったが、睡眠時間はとれた。

時間を節約するため宿舎では朝食をとらず、6:30頃に研究室へ。毎週水曜日は朝(日本時間では夕方)、研究室のスタッフとの定例連絡、打ち合わせをする。それに備えて、届いているメールの処理などを8:00までに済ませる。

10:00すぎに打ち合わせが終わり、諸々の用事を済ませた後、11:00すぎに原稿に戻る。2時間半ほど書き続ける。今日から学会が始まっていて、せっかくの機会なので聴きに行こうと考えていたが、原稿に目処がつくまでは行かないことに決めた。ただ、今日夕方にある懇親会だけには顔を出しておきたい。こういう場合、経験上、名札だけは手に入れておかないとややこしいことになる可能性がある(=懇親会場に総合受付が移動してくるかどうかは五分五分)と考え、学食での昼食のついでに大学の隣にあるメイン会場(Civic Centre)で受付だけは済ませてくる。

40分で戻ってきて、原稿の続きを3時間ほど。夕方、キャンパスの隣の公園にあるWylam Breweryで開かれた懇親会に参加した。知っている人は、最近知り合ったばかりの政治学科のスタッフ以外にはいないわけだが、国内学会ながら数千人規模の会員がいる学会で、常連ではない参加者もそこそこの数いるらしく、そんな人たちを見つけて、1時間ほどおしゃべりを楽しむ。

www.wylambrewery.co.uk

学会の懇親会。かなり密だがみんなノーマスク

6月16日(木)

朝7時から大学の業務関係でオンラインでのミーティングを宿舎から。その後、研究室へ。急ぎで対応する必要があるものに二つだけ返事をし、9時すぎから原稿を再開。『気候民主主義』で書いたテーマに近接する話を日本語で書いているのだが、書くべきこと、書けることはあらかた本で書いてしまったばかりの今、いかにそこから少しでも発展させるかを悩みつつ書くので、どうしても時間がかかってしまう。これは研究を次のステップに進めるのに必要な産みの苦しみと考え、辛抱しつつ、とにかく書ける文章を重ねていく。

14時頃、一旦、通して読めるものがまとまり、編集部と編者の先生に報告を兼ねて一旦送る。目の前で開かれている学会に全く行かないのはもったいないと考え、一度気持ちをリセットして夕方までの残り2コマに行ってみることに。一つめの時間帯は "Energy Colonialism" をテーマとしたセッションで、脱炭素化に向けたトランジションコロニアリズムをめぐる理論や現地調査に基づく数本の報告、もう一つも気候変動をテーマとしたセッションだった。どちらも意外と自分のテーマに近く、色々とヒントを得ることができた。

学会でいろいろな刺激を受け、目下、終わらせなければならない原稿の他にも、考えるべきことが色々と未整理になっていることに改めて気がつき、晩ご飯の後、頭の中を整理しようとノートにメモを書き出し始めるが、考えはあまりまとまらず。頭が疲れすぎていて睡眠が必要。

6月17日(金)

5:30頃起床し、今朝も宿舎では朝食は食べず体操だけはして、6:20に研究室へ。途中、学食での朝食を挟んで、正味3時間半ほど原稿に集中。ほぼ完成に近づいてくるが、力尽きた感じになったので、一旦原稿を離れて、昨夜やろうとした頭の中の整理の続きを、具体的な作業に落とし込んで、少しだけやる。

ある日の学食でのFull English Breakfast(4.95ポンド=約800円)

11:30(日本時間は19:30)から、環境政策対話研究所の理事懇談会にオンラインで参加。判断の難しい重たい案件についての意見交換。案件自体は難しいが、これを何とか好機としようとする代表理事の柳下さんの執念や、他の役員からもさまざまな角度から意見が出されての活発な議論に、刺激を受ける。難渋している原稿のテーマとも深い関わりがある話でもあり、今後1年間のイギリスでの活動も含め、この先自分がどんなふうに研究を進めるべきなのかについても考えさせられる貴重な時間であった。

その後もまた原稿。学会は今日で終わりなので、16:45からの最終セッションにもう一つだけ参加しておくことにする。"Emerging technology" がテーマのセッションが、Civic Centreの本会議場(Council Chamber)といういかにもメインっぽい会場で開かれるということで、最後にこれだけはのぞいておくべきと思ったのだった。報告のテーマは、自律型致死兵器の開発利用とか、安全保障とAIなど。

会場に行ってみると、報告者と座長のほか参加者は3人。しかも3人いる予定の報告者は一人がドタキャンらしく、2人。広い本会議場にたった6人の出席者というセッションで、黙って聞いているだけというわけにもいかず、質疑応答、ディスカッションにも加わる。

18:00すぎにセッションが終わり、研究室に戻って原稿の続き。その後の展開はFacebookに書いた文章を引用。

出発前に済ませなければならないのに遅れに遅れ引きずっていた仕事が三つあり、この1か月ほど、イギリスへの移動と並行して対応に追われていました。その最後の一つを先ほどついに提出し終えました。ご迷惑をおかけしている関係者の皆様には心からお詫び申し上げます m(_ _)m

当地で先ほどまで開かれていた国際関係論の学会のため、この3日間、留守にしていた国際政治学のソラナさんが帰りがけに部屋に寄って「まだやってるの〜?! 早く帰らなきゃだめでしょ〜。私はもうヘトヘト(笑)」と声をかけけくれたおかげで、いい意味で見切りがつけられました。こういうときのラボ仲間の存在はありがたいものですね。

今晩は研究室で徹夜かと覚悟していましたが、すでに夜8時とはいえ明るいうちに帰れました。

時差の関係で日曜深夜までに日本に提出しなければならないものが二つあるのですが、それは日曜日にやることにして、明日は完全オフにします!

拙著への丁寧なご感想を早々に頂きながらお返事できていない方がいらっしゃり、大変心苦しく思っております。少しずつお返事を差し上げております。どうかご寛恕のほどお願いいたします。

懸案の原稿をどうにか脱稿し、明るいうちに宿舎に帰れた

6月18日(土)

朝、近所で床屋を見つけて散髪。ごく普通の街の床屋、という感じの所。バリカンで15分ほどの簡単なものだったけれど、担当してくれたおじさんの感じがよく、値段も11ポンド(1870円)とリーズナブル。顔剃りも洗髪もなしで、日本の一般の床屋よりかなり安い。日本で言うと、短時間で仕上がるQBハウスのようなところに近いかもしれない。チップも含めて13ポンドをカードで支払い。

昼前から路線バスでタイン川の対岸のIKEAに行き、部屋で使うものを買い出しに。夜は夕食を兼ねて宿舎のすぐそばにあるパブに。完全オフの一日になった。

路線バスでIKEA

6月19日(日)

10月にオンラインで開かれる環境経済・政策学会(私自身は非会員)の大会に向けて、企画セッションの応募に登壇者として加わることになっていたのだが、つい数日前、提案のためにはこの段階で報告要旨を各自2ページずつ提出する必要があることが判明。締め切りは日本時間の20日(月)正午(イギリス時間では午前4時)。だが、例の原稿を提出するのに精一杯で、これに対応する余裕がないまま、週末を迎えてしまった。

日曜日の昼ごろから作業を始めたのだが、現時点で研究成果として出せるものは何かを考えるのに手間どる結果に。仮眠を挟んで完成したのは期限ギリギリの午前3時すぎ。締め切り直前に、無事にウェブサイトから要旨を登録し終えた。今週も最後まで綱渡りだったが、これで渡航後かなりバタバタしてきた状態は通り抜けて、少し新しい局面に入れそう。