mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第4週:2022年6月20日〜26日

6月20日(月)

前週の日記の最後と重なるが、徹夜に近い状態で環境経済・政策学会の要旨を提出し終えたのが、締め切りの午前4時(日本時間正午)の直前。どうにか間に合った。間に合わせで構わないから、とにかく出し続けていくことが大事なのだ。

少し仮眠をとって、8時前に大学へ。23日(木)に担当することになっている北大の公開講座の質疑応答部分の進行に向けて、Zoomの接続テスト。5分ほどで何の問題もなく終わる。

その後、学食で朝食。日本とのオンラインミーティングで慌ただしい朝に、時間が取れる時には学食で朝食をとるのが、良い気分転換になっている。食堂のおばちゃんたちが明るく気さくなのがうれしい。

研究室に戻り、11時(日本時間19時)からのラジオ出演で話す内容を準備。

11時から札幌のFM局、RADIOワンダーストレージFMドラマシティの「ワークライフシナジー」にリモートで生出演。

この番組は、札幌での気候市民会議でアドバイザーを務めていただいた斉藤勉さん(当時は連合北海道副事務局長、現在は北海道勤労者安全衛生センター)がパーソナリティをしている関係で、2020年から21年にかけて2度出演したことがあった。

一度は有坂美紀さんと一緒に新札幌のスタジオで、もう一度は江守正多さん、札幌市役所の佐竹輝洋さんと一緒にリモートでだったが、今回は単独で約50分間の番組のゲストを務めるという大役。

リモートで日本のラジオ番組に生出演

斉藤さんからは、『気候民主主義』のことや、イギリスでの生活のことで話したいことを何でも自由に話してもらえばいいからと言われ、そのつもりで自由に話しているうちに、あっという間に時間が過ぎた。リスナーの反響とかはよくわからないのだけれど、楽しく話せたから、まぁいいでしょう。

先週末から今日にかけて、渡航前から遅れていた仕事、目先の対応すべき仕事が一度にクリアになり、だいぶ疲れもたままっているので、午後はお休みに。

カラッと晴れた最高の天気で、しかも自然が足りていない気がしたので、近所のJesmond Dene*1という自然公園まで歩いて行ってみた。南北に広がる公園を南から北へ通り抜ける形で、メトロで約3駅分に相当する距離を散策した。

Jesmond Deneを散策(以上4点とも)

この公園を開いたのは、ニューカッスル出身の発明家で実業家のウィリアム・アームストロング(1810-1900)だとのこと。あの「アームストロング砲」を開発し、ニューカッスル大学の前身である物理学校の設立にも尽力した人物である。キャンパスの中心部にあるArmstrong Buildingに今でもその名が残っており、大学博物館の前には三叉路を見下ろす立像もある。

2時間ほどゆっくり森の中を歩き、だいぶリフレッシュした。帰りはメトロの駅近くに感じの良いパブを見つけ、ビールを一杯頂いてからメトロで帰宅。

よく歩いて喉が渇いたので、やっぱりこれですね

6月21日(火)

朝7時から3件、立て続けに打ち合わせ。午後はデスクワーク。

昼食に出たついでに、学食のある旧図書館棟の中を探検して、1989年まで使われていたという旧閲覧室を発見した。天井の高い広い部屋に木製の本棚や机が並び、東大の総合図書館の閲覧室を思い出す重厚な雰囲気。

現在は言語関係の教材や資料、教育プログラムを提供するランゲージ・リソースセンターとして使われているとのこと。オンラインで利用登録してみた。

旧図書館棟(Old Library Building)の正面玄関。ここを入った左手に、現在はランゲージ・リソースセンターとして使われている旧閲覧室があった)

旧図書館棟。学食に入る時に使う北側からの外観

6月22日(水)

朝は研究室、プロジェクトのスタッフとの定例のオンラインミーティング。その後、ミーティングを受けて処理すべき用事を済ませてから、今年度の脱炭素化技術ELSIプロジェクトの進め方について、時間をとって検討する。

6月23日(木)

朝7時から、脱炭素化技術ELSIプロジェクトで、グループリーダーを務めているテクノロジーアセスメントの打ち合わせをオンラインで。今年度の活動の方針について、準備しておいたメモに沿って相談。ひとまず翌週のプロジェクト全体ミーティングに向けての備えはできた。

その後、10:30から北海道大学公開講座にオンラインで出席。高等教育研究部の教員が交代で受け持っている質疑応答の司会進行を担当。文学研究院の河原純一郎教授による「心理学から見たマスク生活でのコミュニケーション」の講義を1時間ほど聞いた後、受講者からZoomのQ&Aボックスに寄せられた質問を取り上げて、20分間ほど進行を担当。質問が途切れることなく活発に出され、無事に終わる。

マスクがいかに表情の読み取りや個人の識別、印象形成、対人関係などに影響を与えているかが理解でき、非常に興味深く役に立つ講義だった。

午後は、翌日のスティーブンとの打ち合わせの準備や、近づいている研究費の申請について考えるなど、前日に引き続いて研究の時間。

6月24日(金)

日本では一昨日、参院選が公示され新聞は選挙一色だが、イギリスでも今朝のニュースは、デヴォン州とウエスト・ヨークシャー州の二つの選挙区で行われた下院議員の補欠選挙(by-election)で、いずれも与党保守党が敗れたことを伝えていた。

www.bbc.co.uk

2週間ほど前には、与党内での党首信任投票でジョンソン首相が信任されたものの、不信任票も4割に上ったというニュースもあった。

このところのニュースでは、日本でも報じられている通り、コロナのロックダウン中にパーティーを開いていたというジョンソン氏自身の不祥事(Partygate)とか、インフレに伴う「生活費危機(cost of living crisis)」の話題が引き続き伝えられている。今週は鉄道職員約4万人による、30年ぶりという大規模ストライキもあり、これも大きく報じられていた。

www.bbc.co.uk

大学は今日、明日とオープンキャンパス(Open Day)。高校生が各学部や施設を見て回る様子は、日本の大学のオープンキャンパスと変わらない。

Open Dayの日のキャンパス

ティーブンが午後、政治学科のOpen Dayの催しに出番があるとのことで、14時から予定していた打ち合わせは16時半からに変更することにした。

打ち合わせでは、2週間前の最初の打ち合わせをベースに、これから一緒に書こうとしている論文のこと、新たな研究費申請のことについて相談し、気づいたら1時間半近く話し込んでいた。論文について一緒にアイデアを出し合いながらディスカッションしていく過程は、言葉の壁を感じることも全くなく、文字通り時間を忘れるひと時だった。今後、論文づくりは一筋縄ではいかない部分も出てくると思うが、このように過程を楽しむ気持ちを忘れずにやっていければと思う。

夜は、少し前からスティーブンが食事に誘ってくれていた。金曜日の夜は家族との大事な時間のはずだが、歓迎の気持ちをこのような形で表してくれるのがうれしい。

街中のパブで文字通り一杯やった後、イタリアンレストランへ。

ティーブンも日本には2度(一度は札幌、もう一度は東京)来たことがあり、食事をしながら日本のことなども話していたら、近くのテーブルで食事をしていた日本人の女性(がいたことには私は全く気づいていなかったのだが)の耳にとまったらしく、声をかけられた。詳しいことは聞きそびれたが、最近こちらに引っ越してきて住み始めたばかりだそうだ。聞けば何と北大出身(!)とのこと。在学中のゼミの先生は、私もお名前を存じ上げている方だった。世界は狭い。

6月25日(土)

イギリスに来て、丸1カ月。本当に多くの人の協力で、どうにか無事にイギリスでの仕事と生活が軌道に乗りつつある。

そして、日本であらかじめ購入し、5月25日にヒースロー空港に着陸した直後に使い始めたスマホのSIMが、今晩23:59で切れる。

切れたところでまた同じデータパックをオンラインで購入すればいいのだが、毎月それを繰り返すのも面倒なので、自動更新にしたい。ところが、そのためにはイギリスで銀行口座を開く必要があるという。この1カ月、その手続きのためのまとまった時間が取れなかった。

ネットですぐに口座を開けるデジタル銀行が便利だと、私とほぼ同時期にイギリスの別の大学で在外研究をしているHさんに、以前教えてもらっていた。意を決して、午前中に口座を開く作業をしてみた。

口座開設は、顔写真や在留カードなどをアプリからアップロードして、ものの10分ほどで簡単にできた。ところが、口座にお金を入れるためのカード(クレジットやデビットが使える)の登録に際して、認証のため日本の携帯電話の番号宛てに国際電話を受ける必要があったりして、ここに手間取った。

午前中いっぱいかかってしまったが、どうにか完了した。期限が切れるぎりぎりの日に、携帯を自動更新で使うことができるようになった。めでたしめでたし。

午後は、前々からのぞいてみようと思っていたキャンパス内の美術館(Hatton Gallary)へ。あいにく展覧会は何もやっていなかったのだが、ギャラリーと同じ棟にある芸術学部美術学科のOpen Dayが行われていて、プログラムの説明や、その後の校舎ツアーに紛れ込み、高校生の親子連れと一緒にスタジオや作業場などを見学させてもらった。

6月26日(日)

宿舎で比較的のんびり過ごす。午後、ボランティアでお手伝いしている全国高校生異分野融合型研究プログラムIHRPのメンター打ち合わせに参加。

*1:このdene(ディーン)という単語は私は初めて聞きました。辞書で調べると、valley(谷)という意味のイギリス英語らしく、deanと綴ることもあるそうです。ウィキペディアには「ノーサンブリア地方の方言」という記述もありました。