mikami lab.@北海道大学 科学技術コミュニケーション研究室

北海道大学で科学技術コミュニケーション・科学技術社会論を担当している三上直之のサイトです

「脱炭素社会への転換と生活の質に関する市民パネル」政策担当者のための報告書

 ▼報告書(PDF)はこちらからダウンロードしてご覧ください 

大阪大学や国立環境研究所、名古屋大学明治大学日本科学未来館による共同研究として行っているJSPS科研費基盤研究(B)「地球規模かつ超長期の複合リスクのガバナンスにおけるミニ・パブリックスの役割」(JP17H01927、基盤研究(B)、2017-19年度)の一環として、2019年3月2日、3日に北海道大学情報教育館で、「脱炭素社会への転換と生活の質」をテーマとした市民パネル(市民陪審)の社会実験を行いました。

札幌市および周辺8市町村(人口約250万人)の縮図となるよう、同地域に居住する18歳以上の一般市民から抽出した18名(男女9名ずつ)の参加者が、7名の専門家による証言を聞きつつ、あらかじめ設定した3つの論点について約15時間かけて議論し、最終的には、全員の合意で結論をまとめました。

参加者による結論では

  1. 気候変動は放置すれば地球的規模で生態系を破壊し、人類、特に将来世代の生存権さえ侵害しかねない大変な問題だと認識していること
  2. 脱炭素化は成し遂げなければならないことであり、取り組み方次第で、パリ協定の実質排出ゼロ目標は達成できる可能性はあるが、実現するハードルは非常に高いと認識していること、
  3. 他方で、脱炭素社会への転換は必ずしも生活の質に対する脅威となるわけではなく、生活の質を向上させる機会ともなり得ること

などが主張されています。

この結論とそこへ至る一連の過程は、異なる意見を有する一般の人びとがバランスのとれた情報提供を受け、互いに議論することにより、気候変動問題に対する理解が深まるとともに、将来にわたる転換を新たなチャンスとして前向きに捉えるような意見が形成される可能性を示すものと言えます。

詳細は、政策担当者のための報告書(第1版)をダウンロードしてご覧ください。

巻末には、主たる参考人を務めた国立環境研究所の江守正多氏(地球環境研究センター・副センター長)による、情報資料も付録として収録しています。

なお、より詳しい分析・考察等は今後、本報告書の改訂版や論文等の形で公表していく予定です。公表されましたら、このウェブサイトでもご報告させていただきます。