mikami lab.@名古屋大学 大学院環境学研究科 環境政策論講座

名古屋大学大学院環境学研究科 環境政策論講座の三上直之のサイトです。2023年10月に北海道大学から現所属に異動しました。

【NC日記】第0週:2022年5月23日-29日

5月23日(月)

出発直前まで普通に仕事が入っている。午前中は脱炭素化技術ELSIプロジェクトの進捗報告会にオンラインで参加。江守正多さんを始めとするプロジェクトメンバーがほぼ全員揃い、プログラム側からはアドバイザーのお二人と、事務局の方も参加し、進捗報告と意見交換。午後は荷物の準備をしていたような気がするが、これを追記している6月4日時点で、すでに記憶が曖昧。やはり日記は毎日つけるべきもの(笑)。

5月24日(火)

荷物の準備。前々から調達してあった約100Lと約60Lのスーツケースを持っていくことは確定(約100Lのはすでに21日(土)に先に羽田のホテルに発送済)として、残りは5年以上前から使いなれている約35Lのもの一つで済むのか? たぶんそういうわけにはいかなそう……ということで、「三つ目のスーツケース」をどうするのかが検討課題に。

35Lさんには残念だが留守番してもらうことにして、新たに60Lクラスのものを購入すれば荷物は収まりそうだ。しかしイギリスで短期の出張に出る時は、35Lさんにいてもらった方が助かる。時間がないので焦りつつ、あれこれ考えるうちに、全ての荷物をスーツケースに収める必要はないと気づいた(いつものことだが気づくのが遅いwww)。自宅から新千歳空港と、ニューカッスルの空港からホテル、そしてその後宿舎までは、すでに荷物が多すぎて鉄道は利用できない。どちらもタクシーを利用するしかない。であれば、残りの荷物は35Lと段ボール箱に分けて詰めて、荷物を4つにすればいいのではないか。超過手荷物の料金が1個分増えるのは痛いが、今後あまり使い道もない中型のスーツケースを一つ買うよりも合理的だし、何より35Lさんを連れて行くことができる。

結局、荷物は大中小のスーツケース3個と、自宅にあった段ボール箱1個の計4つとなった。これに加えて、機内に持ち込む荷物として、パソコンやタブレットなどの機械類や手回り品を、普段使っているリュックと、翌日に新千歳空港で調達したトートバッグに分けて詰めた。これらも合わせると合計6つのカバンと箱になった。

午後は研究室(自分の居室)の掃除。もともと大して散らかっているわけではないが、1年間留守にする間に、同僚に中に入ってもらう必要も出てくるかもしれない。そのときに困らない程度に、汚れの目立っていた床の拭き掃除などを少々念入りに。夕方少しだけ時間ができたので、スタッフのKrさんと、出発前最後の打ち合わせ。とはいっても留守中の諸々はすでに相談済みで、実質は、掃除をしているうちに「1年間ここを留守にするんだなぁ」と思い湧いてきた不安を紛らわすため雑談に付き合ってもらった、というところなのだが。おやつを食べながら荷造りの顛末(草)などを聞いてもらい、だいぶ気分が落ち着いた。

夜は毎週定例の大学院ゼミ@オンライン。『社会科学の哲学入門』の3回目。第5章〜終章を博士課程の二人と私の3人で分担して報告し、読み終えた。出発前にちょうど終えられてよかった。

5月25日(水)

いよいよ出発の日。冷蔵庫の中の残っていた食材を、朝食で使い切り、冷蔵庫の電源を落とし、午前中は荷物の最終チェックと部屋掃除。

冬を越すので、出発直前には水道の水抜きを完全にしないといけない。水抜き自体は普段から冬場に帰省や出張で数日以上家を開けるときにはやっていることであり、今回初めての経験ではない。しかし北国生まれではない私には、何度経験しても「身についていない」感じがする作業である。また今回は、夏場も含めて1年間、留守にするので、水道管から水を抜くと同時に、排水溝に残っている水が蒸発しないようにする必要もある(→この水は凍らないのかしら?という疑問はあるのだが)という管理会社の指示で、部屋にある全ての排水溝(トイレの便器も含む)にラップをかけるという作業があった。

というわけで、この水落としの工程には時間がかかりそうなので、予約してあった空港行きのタクシーが迎えにくる15:30から逆算して、14:00に始めることにした。あまり早くやりすぎると、水道やトイレが使えないまま長時間過ごすことになり苦しいが、ぎりぎりに始めると間に合わなかったり、焦って失敗したりしかねないので、ということで、14:00スタートに決めた。

昼ごはんはスーパーで買ってきた弁当で済ませた後、いよいよ水抜き作業。排水溝をふさぐ工程も用意しておいた養生テープと、食品ラップを使って、わりとスムーズに済んでしまった。15:00には無事に終わってめでたしめでたし……だったのだが、最後にトイレでラップを張る作業をしていたせいなのか、すべてを終えたあたりで、トイレに行きたくなってしまった。近所のコンビニにでも駆け込むことも考えたが、そこまで急を要してはいなかったので、ガマンwwwすることに。

タクシーはありがたいことに10分早く15:20に来てくれた。時間に余裕はあるのに、6つの荷物を急いで積み込み、家の施錠だけは念入りに確認し、いざ出発。してすぐに

:では千歳空港までですね。(最寄りの)〇〇インターから高速に乗って行きます。

:インターの前に、まずはトイレに行ってください。

という謎の会話になったものの、運転手さんは嫌な顔ひとつせず、コンビニに連れて行ってくれた。

ところで、今回、羽田からロンドンに飛ぶ便は、もともと26日の11:20発の予定だったのだが、ロシア上空を迂回するルートをとる必要がある関係で、出発が2時間以上繰り上がって、9:00発となった。そのため25日に東京に前泊する必要が生じ、25日の夕方に千歳から羽田に移動することになったのだった。

そのことを知った高校時代からの友人K君が、他の新聞部の仲間にも声をかけてくれ、K君のお連れ合いのMさんも合わせて、なんと7人が蒲田に集まって激励の会を開いてくれたのだった。このメンバーがリアルに集まるのは、2020年1月の新年会以来だった。

羽田空港に出迎えてくれた娘(東京在住)を連れて、蒲田のお店へ。すでに宴は19:00頃から始まっていて途中から合流する形になったが、出発の前夜に約2年半ぶりに三十数年来の旧交を温めるという贅沢な時間をプレゼントしていただいた。都合がつかなかったKさんも、LINEを通じてメッセージを送ってくれた。K君とMさん、新聞部の皆さん、ありがとう!

5月26日(木)

25日は、国際線ターミナルの中のホテルに泊まった。早朝にもかかわらず、東京と千葉に住んでいる妻と義母が、それぞれ始発のバスで来てくれ、見送られて出発。ちなみに、手荷物はいずれも23kgの重量の範囲内には収まっていたのだが、個数が2個オーバーということで、20,000円×2=40,000円也の超過料金となった。

超過料金の計算に航空会社の側での手違いがあって、少しチェックインに手間取ったが、出国手続きなどは至ってスムーズだった。トラブルなく搭乗でき、予定通り9:00にロンドンに向けて出発。

約14時間半のフライトでロンドンに到着。長かった〜〜〜〜けれど、通路側の席で、自分の隣席も、通路を挟んだ反対側の席も空席だったので、広々としていてそこまで苦痛ではなかったのはラッキーだった。出発前から寝不足が続いていたので機内で寝られるかと思っていたが、ほとんど眠ることはできず、主に仕事をして過ごした。

写真は機内のフライトマップから。こんなふうにロシア上空を回避して北東周り?でかなり北の方を飛んでいったようだ。

機内のフライトマップから

スマホがすぐに使えるかが不安だったのだが、SIMを日本で購入して、あらかじめオンラインでアクティベートしておいたので、ヒースロー空港に着陸して、駐機場に着くまでの間に開通してすぐに使えるようになったのは助かった。

夕方の便に乗り継ぎ、最終目的地のニューカッスルへ。少し出発が遅れたが、20:00過ぎに到着。夏時間ということもあり、まだとても明るい。とりあえず今晩はニューカッスルで定宿にしている市街地のビジネスホテルまで、タクシーで移動。ニューカッスルに来るのは、これがたぶん5回目だが、空港からタクシーを使うのは初めてだった。

6つの荷物とともにニューカッスル空港に到着

5月27日(金)

時差の影響が強く、それでも何とか眠ろうと努力して、朝4時(日本時間の正午)頃起床。4月から5月にかけて、著書『気候民主主義』の刊行や、今回の渡航の準備のために放置してしまっていた仕事を、挽回していかなければならない。手始めに、一昨年から編者として準備に参加している環境社会学の新しい講座シリーズ(2022〜23年にかけて全6巻が新泉社から刊行予定)について、著者から預かっている原稿を検討してコメントを返す作業を、ほぼ1か月ぶりに再開。その後、ホテルのレストランでイギリス式の朝食をしっかりとる。

午後、大学へ。ニューカッスル大学での居場所は、School of Geography, Politics and Sociology(GPS)の中のDepartment of Politics。ここに1年間、客員として置いていただく形になる。政治学科での受け入れ研究者であり、共同研究者であるStephen Elstubさん(英国政治・熟議民主主義論)と、2年半ぶりに再会した。

その後、宿舎の事務所へ行き、鍵を受け取ってホテルから宿舎へタクシーで引っ越し。キャンパスの北東の端にある、ビジターの研究者向けの宿舎。通りを挟んで向かいには同じ名前の学生寮がある。

学生寮やビジターの研究者用など、キャンパスの色々なところに宿舎が点在しているようだが、私の宿舎は、地下から3階までの4フロアに13室があり、私は2階の北東向きの部屋を割り当てられた。窓からは一面、木々の緑が見え、鳥のさえずりが聞こえるという乙な環境。札幌のマンションも、通りに出ればすぐに山が望めて、環境は決して悪くはないのだが、部屋の窓からは緑が全く目に入らず、時々寂しく感じることがある。それに比べると、ここは素晴らしい。他方で、キャンパスの外縁に沿って走る幹線道路の車の音が大きめだが、これは札幌の家でも同じようなもので、すぐに慣れるだろう。

宿舎の自室からの眺め

宿舎の外観はこんな感じ

メールと電話で進めていたITのセットアップも夕方までには済んで、ニューカッスル大学でのメールアドレスも使えるようになった(日本との日常的な連絡は、これまで通り北大のアドレスを使います)。荷物の移動や、宿舎のことなど、不安要素がほぼすべて片付いてしまい、ホッとしたら急に疲れが出てきた。食材を買い出しに行く元気がなく、外で食事を済ませて部屋に戻り、21:00頃から3時間ほどは熟睡。その後は、時差の影響もあってあまり眠れず、明け方に2時間ほど眠った。

5月28日(土)

まだ何も食材がないので、朝は近所のカフェで朝食をとり、そのまま宿舎の部屋で使う日用品や、当座の食材の買い出しに出かける。時差の影響が大きく、たしか晩ご飯は食べずに眠ったのではないかと思う。マグカップが手に入るまで、研究室(論文ゼミ)の皆さんが送り出しの会の時にプレゼントしてくれたタンブラーが部屋で大活躍。自宅での使い残しのコーヒーやお茶などはまとめて持ってきたが、これらも重宝している。

論文ゼミの皆さんに頂いたタンブラーが大活躍

5月29日(日)

前日に引き続き、宿舎での生活のセットアップ。宿舎の中にあるコインランドリーを使って洗濯もした。「コイン」とは言っても、現金は使わない。クレジットカードを使ってネットで課金した上で、スマホのアプリで洗濯機に表示された二次元バーコードを読み取って支払い、洗濯機や乾燥機を動かすというしくみ(我ながら要領を得ない説明だが、要はそんな感じのシステムです!)。

www.circuit.co.uk

イギリスでは日本以上に、キャッシュレス化、デジタル化が進んでいる印象がある。スーパーやカフェなどでの日常の支払いは、クレジットカード*1が中心。それも非接触決済(コンタクトレス)がほぼデフォルトのような感じになっていて、つまりSuicaPASMOと同じ感覚でカードを端末にかざすとクレジットの決済が済んでしまう。暗証番号も不要。これはちょっと怖いなと思いつつも、慣れると確かに便利である。こちらにいる間は、日常の生活費はほぼこれで支払うことになりそうなので、家計簿のうち生活費の支出は、カード明細をcsvファイルでダウンロードし、そのまま使うことにした。

出発直前からの1週間ほど間食(おやつ)をあまりしていないのと、移動が続いて、全体として食べる量が減っていることもあり、最近には珍しく努力せずにやせている感じ。普段ならば喜ばしい傾向だが、この状況でこれはいけないということで、夜は少ししっかりと食べておこうと考え、近所のパブで外食。ハンバーガーに、チーズの乗ったポテトフライ。4日ぶりのビールがうまい。

*1:クレジットカードと書きましたが、正しくはデビットカードが主流なのだと思います。例えば三井住友カード情報サイトには、イギリスの状況として、デビットカード40%、現金28%、クレジットカード8%という数字が出ていました。2020年4月の記事ですので、コロナ禍を経て、現金がもっと減ってカードの割合が増えているとは思いますが、デビットカードが中心というのは、そこまで大きく変わらないのではないかという気がします。(2022年6月27日追記)