仕掛人の戦略から考えるWWViewsとのつきあい方
北海道出身の宇宙飛行士である毛利衛さんの「部下」として働く、という貴重な経験を、かつて3年間ほどさせていただいたことがあります。科学技術振興機構(JST)の科学コミュニケーションセンターにフェロー(要するに非常勤の研究員)として所属していたときのことです。当時のセンター長が毛利さんでした*1。
そのセンターで、共同研究者の八木絵香さん(大阪大学CSCD)と私が与えられていた研究課題の一つとして、世界市民会議(WWViews)がありました。世界数十カ所で同日に、同じテーマで100人規模のミニ・パブリックスを開催するというプロジェクトで、2009年からすでに3回開催されています。この世界市民会議について、その2012年の会議(写真)を実際に運営する日本科学未来館のチーム(池辺靖さんら)と協力して、この手法の科学技術コミュニケーション上の可能性や課題を明らかにする、というのが研究の目的でした。
デンマーク技術委員会が主導するこの世界市民会議に、日本の科学技術コミュニケーション関係のチームは、形を変えながらも2009年以来ずっと参画してきています。毛利さんの(宇宙的?)視点からみると、欧州勢のつくる枠組みに追随しているだけで本当にいいのかということが気になるようで、このWWViewsという枠組みとどうつきあっていくべきかをもっと冷静に真剣に考える必要がある、というアドバイスをつねづね頂いていました。
ご指摘に深く納得しつつも、半分研究者、半分実践家としての自分は、この取り組みを突き放して考えることがなかなかできず、気にかかっているもののきちんと取り組めていない宿題になっています。そんな中、昨年度、国立環境研究所の江守正多さんから、所内での勉強会にお招きいただき、世界市民会議について講演する機会を頂きました。その時は、日本科学未来館で世界市民会議の実施を手がけてきた池辺さんも同時に講演されることになっていました。世界市民会議の中身についてのソリッドな報告は池辺さんにお任せして、私は傍論・補論的なお話をしてもよいかもしれないという勝手な解釈のもと、毛利さんからの宿題を思いだしつつ、標題のようなタイトルでお話しさせていただくことにしました。
その内容を、下記のページにほぼ全文掲載しましたので、ご覧ください。
仕掛人の戦略から考えるWWViewsとのつきあい方(2016年2月23日、国立環境研究所での講演)