研究総合大学における全学型公開講座の運営動向
標記のようなタイトルのレポートを、先月出版された『高等教育ジャーナル−高等教育と生涯学習−』(発行・北海道大学高等教育推進機構)23号で発表しました。東京大学や京都大学など、国内の主要な国立総合大学の公開講座担当教職員に直接取材し、他の研究総合大学でどのように全学型の公開講座が行われているかを探りました。(写真は調査の一環として、昨年5月に見学した東京大学公開講座の会場)
三上直之・木村純・飯田直弘・児玉直樹(2016)「研究総合大学における全学型公開講座の運営動向」『高等教育ジャーナル−高等教育と生涯学習−』23: 87-100
高等教育研究部門での調査研究の一環として、2年前から「北海道大学の中期目標や近未来戦略に即した公開講座(全学企画)の将来像に関する検討」を進めています。今回のレポートは、その調査研究の第2弾の成果となります。
今回の調査を通じて次のようなことがわかりました。
- 全学型公開講座は、研究総合大学にとって依然として、社会連携、地域貢献のための主力プログラムでありつづけている。とくに、東大や京大では、社会貢献の質量両面での充実を図るべく全学型公開講座に注力する意思を明確にした上で、地道な努力、工夫を積み重ねることにより、受講者数を飛躍的に伸ばし、500人から1000人規模の講座をコンスタントに実現している。
- 総合大学の総合力を生かす形で、全学の実質的な協力体制で講座内容を充実させることができているかが成功の鍵。各大学とも、総合大学にふさわしい全学的な視野に立った企画立案を可能にするプロセスを、試行錯誤しながら整えている。
- 受講者の超高齢化への対応は、他大学においても共通の課題となっている。
詳細については、上のリンクから本文をぜひご覧ください。また同じ調査研究で昨年刊行した第1弾のレポートは下記のところからダウンロードできます。
三上直之・木村純・瀧澤一騎・飯田直弘・児玉直樹(2015)「北海道大学公開講座(全学企画)の現状と将来像の検討」『高等教育ジャーナル−高等教育と生涯学習−』22: 123-131
こうした情報は変化が早いものですので、引き続き状況をフォローしながら、北海道大学での公開講座の企画運営の充実に生かしていきたいと思います。
最後になりますが、聞き取り調査にご協力くださり、また貴重な資料を提供してくださった各大学の公開講座担当教職員の皆様に、改めてお礼申し上げます。