mikami lab.@北海道大学 科学技術コミュニケーション研究室

北海道大学で科学技術コミュニケーション・科学技術社会論を担当している三上直之のサイトです

遠藤さん・小松さんが修士課程を修了

きょうは北海道大学の卒業式(学位記授与式)でした*1。当研究室では、遠藤恭平さん・小松美由起さんが、めでたく理学院科学コミュニケーション講座の修士課程を修了しました。

遠藤さんは福島工業高専専攻科を卒業後、ここ科学コミュニケーション講座の修士課程に進学しました。高専時代は有機化学を学んでいた彼にとって、社会科学系の研究や論文の執筆は初めての経験であり、苦労も多かったはずです。在学中にはCoSTEP本科・研修科を受講したり、自主的にゼミや科学技術コミュニケーションの活動に取り組んだりと、意欲的に活動しました。それらの経験も生かし、最終的にはみごとに大部の修士論文「理工系学生にとっての科学技術コミュニケーション教育の意味に関する研究」を完成させました。終了後は出身地である福島県に帰って、化学メーカーに就職します。

小松さんは大学職員としての多忙な勤務の合間を縫って、講義を受け、研究に取り組みました。修士論文「大学広報における科学技術コミュニケーターの役割:広報誌制作過程の分析を中心に」は、ある年度にCoSTEP実習チームが担った、北大広報誌『リテラポプリ』の編集過程に1年間密着した参与観察の記録と分析を軸とした力作です。科学技術コミュニケーターが編集を担った広報誌の強みと課題を明らかにするため、約70人の模擬読者を対象としたモニター調査も行いました。小松さんが仕事や活動を通じて温めてきた問題意識が、綿密な調査を通じて結晶する論文となりました。


学位記授与式の後、二人が研究室に戻ってきたところで、私から、二人の学位記を全文読み上げ、授与させていただきました。一つ目の写真がその様子です。研究部の事務室の皆さんと、その場にいあわせた木村純先生に温かく見守られながらのミニ授与式となりました。そして学位記と一緒に記念撮影(二つ目の写真)。私にとっても、とても楽しく、うれしい瞬間です。その後、二人に修了を迎えての感想を聞かせてもらいました。

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ーーおめでとうございます。まずこの日を迎えての感想を一言ずつ聞かせてください。

遠藤:ありがとうございます。ついに(修士号が)手に入った、という感じです。小学生時代から合わせると20年間の長い学生生活がこれで終わりだなと思うと、高専時代の友だちの中でも自分は一番長く学生でいましたので、何だかとても感慨深いです。

小松:ホッとしています。働きながら4年間の学生生活は、本当に長かった。学部生時代の4年間はあっという間だったという印象ですが、それに比べると長く感じました。修士論文を本当に書き上げることができるのか、という不安がありましたが、今は、多くの人の協力を得ながら、自分で一つの論文を仕上げることができたという充実感があります。

ーー二人とも結果的に少し長居することになったわけですが、その間でとくに印象に残っていることは何ですか。

小松:私は、最初の年、大学広報誌の編集過程を参与観察させていただいたのですが、現場で起きていることを観察しながら、そこから何が言えるのかを考えるのが、本当に難しかった。観察結果を先生に報告すると、いつも「その現象の意味は何か」と問われつづけたのがつらかったけれど、その問いが研究を進める力になりました。研究の終盤、アンケート調査にも取り組んだのですが、それと比べると、参与観察から何かを言うことは難しいという印象があります。今は、フィールドワークの現場の皆さんが受け入れてくださったことに、心から感謝しています。振り返ってみて、私はとても恵まれていたと思います。

遠藤:調査に協力してくださった方々への感謝は、僕も全く同じ思いです。また僕の場合、修士1年目から2年目にかけてCoSTEPを受講(本科および研修科)できたのが楽しい思い出です。キャラクターの濃い受講生が集まって、実習などで一つのものを作り上げるために侃々諤々議論した経験が、その後、科学技術コミュニケーション教育に関する修士論文を書くときに生きました。

ーー福島に帰り4月から会社に勤める遠藤君はとくにそうですが、二人ともこれで大きな区切りを迎えます。「今後の抱負を」などと私から唐突にたずねられても答えに困るでしょうが、良かったら一言ずつ聞かせてくれませんか。

遠藤高専時代の専攻を生かす方向で化学メーカーで働くことになったわけですが、大学院やCoSTEPで学んだ科学技術コミュニケーションも、そこに組み合わせる形で生かしていきたい・・・とは思いますが、そんな話が具体的にできるのはもう少し先かもしれません。まずは新しい職場でひたすら修行の日々になると覚悟しています。その中でも、新たな知識への貪欲さや、幅広い視野を持つことは忘れずにいたいです。

小松:現在の職場では、産学連携向けの研究紹介のウェブサイトの制作に少し携わっているほかは、広報に関わる仕事はほとんどしていないのですが、大学広報は私にとって今後も長く勉強していきたいテーマです。これからも自分なりにリサーチを続けていきたいと考えています。

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遠藤さん、小松さん、本当におめでとうございます。大学院での経験を生かして、さらに活躍されることを期待しています。

*1:きょうは札幌キャンパスにある学部・大学院が対象。函館キャンパス(水産学部・大学院水産学院)ではあす25日に挙行されます。