mikami lab.@北海道大学 科学技術コミュニケーション研究室

北海道大学で科学技術コミュニケーション・科学技術社会論を担当している三上直之のサイトです

一足早く修了のお祝い

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2011年春に修士課程に入学し、長期履修制度を利用して学んできた郡伸子さんが、今月でめでたく修了することになりました。2月10日に行われた修士論文発表会を経て、先日、正式に修了が決まりました。

卒業式は今月25日ですが、3月3日には一足早く、論文ゼミのメンバーで修了を祝う会を開きました。

郡さんの修士論文のテーマは「地球規模での市民参加における市民同士の討論の課題と可能性に関する研究」。2012年に日本科学未来館の主催で行われた「生物多様性に関する世界市民会議(WWViews)」を事例として、そこでの参加者の討論の記録を丹念に読み込み、分析した論文です。

下の写真は、左および中央が論文ゼミのお祝いの会の様子、右が理学部5号館入口で修了内定発表の掲示を撮影する郡さん。

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修了内定の発表があった3月5日に、郡さんにインタビューしました。

   *   *   *

ーー早速ですが、今の感想は?

 やりとげたという気持ちです。2年前に修士論文に本格的に取り組み始めてから、2度苦しい時期がありました。とくに2度目は昨年11月、材料もある程度揃って分析もできて、さぁ論文全体を書き上げようとしたときに、数週間、全く進まなくなってしまいました。「こう書いたら先生(←三上)には、こういうふうに突っ込まれるからダメだ、ではどう書くか」などと迷っているうちに、筆が進まなくなってしまった。本当にこのまま提出できなくなってしまうのではないかと不安になりました。

ーーどんなふうに乗り切ったのですか。

 自宅の台所に、エリック・カールの絵本『はらぺこあおむし』のイラストを貼っています。幼虫がさなぎになって、最後はきれいな蝶になるという絵です。それを見ながら「今自分が苦しいのは、この途中のさなぎの所にいるからで、蝶になって完成するために必要なプロセスなんだ」と自分に言い聞かせていました。またこの時期、知人に「論文、書けないんだよ」と愚痴ったりして、「それは一時的なスランプなんじゃない?」などと慰めてもらったりしたのも、いま思えばよい気分転換でした。そんなふうにして、次第に自分のペースを取り戻すことができました。

ーーかなり大変でしたね。で、ようやく修了できると自信が持てたのは、どの段階でしたか。

 1月下旬の予備審査(口頭試問)*1の時でした。副査の先生に「事例を丁寧に分析していて立派な研究だと思った」と褒めていただいた。とてもうれしかったし、この瞬間、きっと修了できると思いました。気持ちに余裕もできて、3週間後の修論発表会には、緊張しながらも落ち着いて臨めました。

ーー修士課程で学んだことを、これからどんなふうに生かしていきたいですか。

 すぐに博士課程に進学、というわけにはいかないのですが、研究は続けていきたい。実践の中から問題を見つけて、最終的には自分なりの参加型手法ーー討論型世論調査とか世界市民会議のような大それたものでなくてもーーを開発してみたいと思っています。

ーー3年間お疲れ様でした。本当におめでとうございます。

*1:一旦完成した論文を提出した後、修論発表会までの間に、副査の教員2名も交えた予備審査の口頭試問がある。約30分で論文の要旨を報告した後、1時間程度、質疑応答を行う。