mikami lab.@北海道大学 科学技術コミュニケーション研究室

北海道大学で科学技術コミュニケーション・科学技術社会論を担当している三上直之のサイトです

現在の研究テーマ

現在、主に次の三つのテーマに取り組んでいます。研究室で学ぶ大学院生らは、これらのテーマに狭くとらわれることなく、上述した私自身の専門領域から対応可能な範囲で自由に研究テーマを選択・設定しています。

参加型手法とそれを生かした意思決定のしくみ

環境問題をはじめとして科学技術が深くかかわる社会的な問題について、市民参加による話し合いの場をつくるための方法を研究しています。中でも、無作為抽出などの方法で社会全体の縮図となる十数人から数百人規模の人々を集め、そこで話し合われた内容を政策決定などに生かすミニ・パブリックスという方法に注目して研究を進めています。コンセンサス会議や討論型世論調査を始めとするミニ・パブリックスの手法を用いた会議を実際に開き、これらの手法の日本社会における活用可能性や課題についても検討してきました。2014-2016年度の3年間は、次項のテーマとも関連させつつ、個人研究として「環境政策におけるミニ・パブリックス型手法の導入状況の分析と活用指針の開発」(科研費基盤研究(C))という課題に取り組んでいるほか、他にも複数の共同研究*1に参加しています。

地域における環境ガバナンス

人口減少や高齢化が進み、産業構造が大きく変化する中で、地域における持続可能な暮らしを実現するしくみをどのように生み出せるか。こうした今日的な問題について、自然環境の保全・再生・利用に関する協働のしくみ(環境ガバナンス)を主な切り口に、地域におけるフィールドワークの中から考える研究です。現在は「多元的な価値の中の環境ガバナンス:自然資源管理と再生可能エネルギーを焦点に」科研費基盤研究(A)、代表:宮内泰介・北海道大学教授)の一環として、北海道七飯町の大沼を主な調査地として研究しています。昨年からは、別の共同研究*2の調査地として、沿岸遊休地での干潟再生の試みが進む三重県志摩市にも通い始めました。このテーマに関連して、環境や科学技術という観点からは少し外れますが、「北海道ソーシャル・キャピタル研究会」の活動の一環として、若者と地域のつながりに関する調査研究にも参加しています。

地域社会と大学とのコミュニケーション

高等教育推進機構高等教育研究部での研究開発の一環として、市民向けの大学公開講座の企画運営を行いつつ、その意義や効果的な開催方法などを研究しています。北海道大学のような基幹総合大学にとって、全学型の公開講座は、研究成果の社会還元という意義にとどまらず、教職員が多様な地域住民と直接対話し、大学の研究教育に寄せられる期待を敏感にキャッチするアンテナとしての役割があります(「北海道大学公開講座(全学企画)の現状と将来像の検討」『高等教育ジャーナル』22: 123-131頁)。今後も、地域社会と大学とのコミュニケーションをいっそう充実させるべく、より効果的な公開講座や大学開放の方法を研究していきます。

(2016/01/03更新)

*1:主なものとして「多元的環境正義を踏まえたエネルギー技術のガバナンス」(科研費基盤研究(B)、代表:丸山康司・名古屋大学准教授)、「原発事故後の親子の生活・健康変化の実態解明と社会的亀裂修復に向けた介入研究」(科研費基盤研究(A)、代表:成元哲・中京大学教授)があります。

*2:「干潟再生事業における住民認識に根ざした新・環境コミュニケーションモデルの構築」(科研費基盤研究(B)、代表:山下博美・立命館アジア太平洋大学准教授)。