専門分野
私自身のいちばん広い意味での専門分野は社会学です。あらゆる事象の社会的な側面(人間の行為やその意味、組織や制度等)に強い興味・関心がありますが、研究者としては、環境問題や科学技術、とりわけそれらに関するコミュニケーションや社会的意思決定を対象としてきました。これらを社会現象として捉え、その実態や背後にあるしくみを社会調査によって具体的なデータで裏づけつつ解明していくというのが、研究の基本的な進め方です。
もう少し詳しく専門分野を表現すると、環境社会学および科学技術社会論となります。環境社会学は、多岐にわたる社会現象の中でも、環境問題や環境保護運動、環境政策などを主な対象とする社会学の一分野です。科学技術社会論の方は、科学技術を対象とする人文社会系の研究(哲学や倫理、歴史、人類学、社会学など)からなる学際的分野で、その中で私は、もっぱら社会学的なアプローチを用いる研究者という位置づけになります。
大学院博士課程の時、東京湾における埋立開発の中止と、干潟の保全・再生に向けた地域社会の動きに密着したフィールドワークを行い、博士論文を書きました(『地域環境の再生と円卓会議』日本評論社)。この研究の中には、あまり整理されないままでしたが上記の関心が様々な形で含まれており、結果的には自分自身のその後の研究を方向づけています。